2011 Fiscal Year Annual Research Report
水和物評価に基づくセメント系硬化体の物質移動性の定量評価手法の構築
Project/Area Number |
21360204
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐伯 竜彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90215575)
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Keywords | C-S-H / C/S比 / カルシウムアルミネート系水和物 / 比表面積 / ゼータ電位 / 酸素拡散係数 / 塩化物イオン拡散係数 |
Research Abstract |
本研究では,セメント系硬化体を水和物の集合体とみなし,個々の水和物の性質を積算していくことによって硬化体中の物質移動性を評価することを目的として,平成21年度より以下の検討を行ってきている. i)水和モデルの構築,ii)水和物の諸性質の測定,iii)水和物の性質とセメント硬化体の物質移動性の関係今年度は過去二か年で不十分だった点および未検討であった点について検討し,これまでの成果と総合して研究のまとめを行った.得られた成果は,下記の通りである. (1)ビーライトの水和により生成するC-S-Hについて検討し,水和反応式確定するとともにC/S比とH/S比の関係,C/S比と比表面積の関係について検討し,それらがエーライトの場合と同じであることを明らかにした. (2)アルミネート相の水和生成物について検討し,カルシウムアルミネート系水和物の比表面積の推定手法を構築した. (3)個々の水和物の比表面積を積算して,セメント系硬化体全体の比表面積を推定できることを明らかにした. (4)水和物のゼータ電位に及ぼす温度および細孔溶液のイオン組成の影響について検討した.さらに,個々の水和物のゼータ電位を積算することにより,硬化体のゼータ電位を評価できることを確かめた. (5)前年度まで未検討であった長期材齢の硬化体,セメント-高炉スラグ-シリカフュームの三成分系結合材,蒸気養生を行った硬化体においても,これまで開発した水和物に基づく物質移動性評価手法により酸素拡散係数および塩化物イオン拡散係数の推定が可能であることを明らかにした.
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