2011 Fiscal Year Annual Research Report
即発γ線分析によるコンクリート中の塩化物イオン濃度分布の現場非破壊測定方法の開発
Project/Area Number |
21360207
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
氏家 勲 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (90143669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 慎一郎 愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (30510507)
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Keywords | コンクリート / 即発γ線分析 / 非破壊検査 / 維持管理 / 塩化物イオン濃度分布 |
Research Abstract |
本研究は即発γ線分析によりコンクリニト内部の塩化物イオンの濃度分布を測定する技術を、現場での非破壊計測方法に発展させることが目的である。昨年度提案した中性子ビームの照射角度を変えることにより、徐々に測定範囲を供試体の表面から深くすることにより、任意の塩化物イオン濃度の分布を評価することができた。本年度は現場計測に関する課題および中性子ビームの角度を変える方法の精度を改善することについて検討した。 現場計測への展開に関して、昨年度と同様に中性子ビームでなく水分計などで使用されているカリフォルニウムを用いて塩化物イオンの測定を試みた。しかしながら、種々の工夫を試みたが、水分計などで用いられているカリフォルニウムは移動に関しては問題ないが、中性子の強度が弱く、塩化物イオンの測定には適さないことが分かった。米国でコンパクトな携帯用の中性子ジェネレーターが開発されており、その携帯用中性子ジェネレーターを用いた実験はできなかったが、即発γ線によるコンクリート中の塩化物イオン分析の第一人者であるメリーランド大学R.A.Livingston教授との議論から本研究で提案する中性子ビームの角度を変える方法は携帯用中性子ジェネレーターにも適用可能であることを確認できた。ただし、実証は今後の課題である。 また、中性子ビームの照射角度を変えることにより、徐々に測定範囲を供試体の表面から深くすることにより、任意の塩化物イオン濃度の分布を評価する方法において、測定精度を改善するためには設定している測定範囲よりも奥から発生する即発γ線を考慮する必要がある。中性子ビームの角度が測定対象物体の表面から小さい場合には測定値の1割程度をノイズとして差し引いて、角度が大きくなるにつれて、ノイズとして差し引く割合を少なくする方法を提案した。既往の測定結果を用いれば、この方法により測定精度を改善することができた。ただし、多くのケースについて検討する予定であったが、東日本大震災の影響により日本原子力研究開発機構の試験装置が使用できなかったため、十分な検証データの蓄積はできなかった。
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