Research Abstract |
本研究は,構造物,走行車両に発生する非定常空気力の発生機構の解明を目的とするものである.走行車両の空力特性についてはわが国のほか,英仏をはじめとするヨーロッパで研究が行われている.一方,竜巻に起因する飛散物やリスクレベル評価に関する研究は主に米国で実施されている.非定常空気力に関する研究は実施例が少なく,走行車両模型を用いた研究のほか,わが国では研究代表者等のグループの他に数機関で行われるのみであり,未着手,未解明の点も多い.本研究では、(a)突風生成装置の試作(平成21年度)、(b)非定常空気力の計測(平成21年度,22年度)、(c)既往の研究成果との比較(平成22年度,23年度)を通じて,より多様な条件の下で非定常空気力の特性を明らかにする. 平成21年度は突風生成装置を試作するための予備実験として,風洞内に開閉式の簡易シャッターを設置し,人力による急開時の風洞内風速変化を計測し,突風立ち上がり時間を短縮するための装置改作に取り組んだ.その結果,吹き出し式風洞では,シャッター閉塞時のモーター過負荷がシャッター急開により解放され,ファンの回転数が徐々に増加し本来の定常値に達するまでの時間遅れが存在し,これが立ち上がり時間の短縮を妨げること,さらにこの時間遅れは吹き出し式風洞のもつ本質的課題であり,抜本的な解決には相当の検討を要することが明らかとなった.このため予備実験を断念し,続いて実験室内のレール上を台車が移動し,横風区間に突入する装置を試作するため,台車駆動用のエアーシリンダを購入し,平成22年度の装置試作に継続する準備を整えた. 一方,既存の突風風洞を用いて,突風作用時の矩形断面の過渡揚力発生機構について,空気力および表面圧力計測ならびに流れの可視化を行い,断面側面の剥離バブルが風速増加中に一時的に形成され,これが過渡揚力を特徴づけることが明らかとなった.
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