2009 Fiscal Year Annual Research Report
レーザピーニングによる鋼構造溶接部の疲労強度向上手法の実用化
Project/Area Number |
21360214
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
崎野 良比呂 Osaka University, 接合科学研究所, 助教 (80273712)
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Keywords | レーザピーニング / 疲労 / 溶接 / 残留応力 / 大型試験体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、疲労強度向上効果が非常に大きいことが明らかになりつつあるレーザピーニングを、鋼橋の疲労き裂発生防止手法および疲労寿命向上手法として実用化するため、より実用性の高いノズル型レーザピーニング装置を開発し、その効果を部材試験体により実証することである。レーザピーニングが疲労き裂の発生防止に適用できれば、鋼橋をはじめとした鋼構造物の長寿命化が可能になると考える。 これまでのレーザピーニングの施工は、原子炉の炉心シュラウドに実用化された技術を適用しているため、水中でレーザ照射を行ってきた。しかし、鋼構造物は大形であるため水槽内にいれることは困難である。また、これまで小型試験体でしか実験がなされていない。そこで本年度は、ノズル型レーザピーニングを可能にするレーザ照射ヘッド(光ファイバー付き)の制作を行った。本照射ヘッドは大型構造物の溶接部を想定して設計したもので、ノズルから水を拭きかけながら、大型構造物の溶接止端部にレーザを干渉することなく照射できる。これによって、初めて橋梁等の大型構造物へレーザピーニングが適用可能となった。レーザ照射ヘッドの製作と平行し、22年度に行う中型曲げ疲労試験体による効果確認実験の、パイロット実験を行った。試作した試験体を用いて、ひずみゲージとクラックゲージによるき裂の発生と進展速度の計測を行い、実験が問題なく行えることを確認すると共に、レーザピーニングを施さない場合の疲労強度の概略値を得ることができた。また、水中でピーニングした場合とノズル式でピーニングした場合の比較を、これまで実績のある小型試験体で行った。現在、残留応力の計測結果のデータ整理と一軸疲労試験による疲労強度の比較を行っている。 このように、大型構造物へのレーザピーニング施工の準備が整いつつあるので、22年度以降さらに部材試験体での効果確認を進めていく予定である。
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