2011 Fiscal Year Annual Research Report
レーザピーニングによる鋼構造溶接部の疲労強度向上手法の実用化
Project/Area Number |
21360214
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
崎野 良比呂 大阪大学, 接合科学研究所, 講師 (80273712)
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Keywords | レーザピーニング / 疲労 / 溶接 / 残留応力 / 大型試験体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、疲労強度向上効果が非常に大きいことが明らかになりつつあるレーザピーニングを、鋼橋の疲労き裂発生防止手法および疲労寿命向上手法として実用化するため、より実用性の高いノズル型レーザピーニング装置を開発し、その効果を大型試験体により実証することである。レーザピーニングが疲労き裂の発生防止に適用できれば、鋼橋をはじめとした鋼構造物の長寿命化が可能になると考える。 本年度は、レーザピーニング条件と照射角度を変えて平板にレーザピーニングを施し、残留応力を計測して大きな圧縮残留応力が入る条件の検討を行った。その結果、照射角度の傾き(鉛直方向からの傾き)が小さい方が圧縮残留応力が大きいことが分かった。この検討により、ピークエネルギー20mJ-照射径0.3mm-照射密度180pulse/mm^2(kHzレーザを使う場合)と70mJ-0.7mm-51Pulse/mm^2(光ファイバを使う場合)の2条件を選んだ。 選定した条件を用い、700×150×23mmの鋼板に厚さ9mmのリブを回し溶接した大型曲げ試験体の回し溶接部にレーザピーニングを施し、応力振幅100MPaの4点曲げ疲労試験に供した。なお、照射角度はリブに干渉しない最小の角度10°とした。比較のためレーザピーニングを施していない試験体(NP)も試験に供した。 その結果、NPは9~24万回で疲労き裂が発生した。これに対し、レーザピーニングを施した試験体はいずれのピーニング条件でも、3体中1体はき裂が発生することなく200万回に達した。残りの2体は70万回前後でき裂が発生したものの、レーザピーニングを施していないリブ側止端からであり、レーザピーニングを施したベースプレート側止端からは200万回でもき裂は発生しなかった。 以上、本研究により初めて大型構造物へレーザピーニングが適用可能となり、その効果も大型試験体で確認することができた。
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