2011 Fiscal Year Annual Research Report
構造振動-音響理論に基づく回転式打音検査システムの開発
Project/Area Number |
21360215
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
園田 佳巨 九州大学, 工学研究院, 教授 (40304737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 光輝 九州大学, 工学研究院, 准教授 (90411230)
玉井 宏樹 九州大学, 工学研究院, 助教 (20509632)
佐川 康貴 九州大学, 工学研究院, 准教授 (10325508)
別府 万寿博 防衛大学校, システム工学群, 准教授 (90532797)
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Keywords | 回転式打音法 / 浮き・剥離 / 音響解析 / 音圧スペクトル / 自己組織化マップ |
Research Abstract |
近年,老朽化した構造物に適切な維持補修を行い,ライフサイクルコストの低減を図ることが非常に重要となり,それに応じて様々な非破壊診断法の研究・提案がなされている。本研究はその中で最も簡易な打音法に着目し,作業効率と診断精度を向上させることを目的に開発された「回転式打音法」を用いた診断システムの開発を目指すものである.平成23年度に行った研究により得られた成果を以下に示す. (1)回転式打音法で得られた音の性質に関して検討を行った結果,計測環境下の種々の騒音(生活騒音や風切音および交通車両のノイズ)を除去するために1000Hzのハイパスフィルタを施し,その上で入力荷重で除すことにより単位荷重あたりの音圧波形に補正することで診断精度が大きく向上することを確認できた. (2)音圧の時刻歴波形を5msec間隔で区切り,それぞれを入力ケースとして,自己組織化マッピング(SOM)を行うことで,音圧の大きさだけでなく音の減衰性や継続時間を考慮したデータの評価が可能となり,健全部と欠陥部の識別だけでなく,異なる欠陥状態の区分も可能であることが認められた. (3)上記の2点に基づいた診断法を用いて,1)PCグラウト充填部の健全度評価および2)耐火煉瓦の内在欠陥の診断の2種類の試験的な調査を行った.その結果,PCグラウト充填部の健全性についてはグラウト未充填部を明確な識別が可能であった.また耐火煉瓦の内在欠陥についても,深さ50~60mm程度の範囲であれば内在するクラックの存在を把握することが可能であった.以上のことから,検査対象内部の詳細な欠陥状態を識別するにはさらなる検討が必要であるが,健全箇所と異なる部分の抽出はほぼ確実に行うことが可能であり,「回転式打音法」が1次診断としての目的は十分に果たせることが確認できた.
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