Research Abstract |
強風により生じる構造物の被害の低減や,排気ガスの拡散特性把握といった現象の予測の精度を飛躍的に向上させるために,本研究グループで試作してきた独自の構造を持つ風向変動風洞を実用化するための大型化に欠かせない,大型化した場合にも高速で開閉可能なシャッターを開発し,それによって生じる気流の特性を明らかにすることが本研究の第一の目的である. 本年度は,大型シャッターの開発を実施した.大型シャッターの製作にあたって詳細に検討したところ,シャッターを閉じた際にシャッター板にファンで生成される圧力が作用すると,過大な変形が生じ,シャッターの動作に支障をきたすことが懸念された.そこで,シャッターを設置する風路内に,バイパス風路を設けることとした.そのため,シャッターの大きさは,当初の計画よりもやや小さい,幅1.00m,高さ1.09mとした.開発したシャッターを測定部の風下側に設置した場合,シャッターを閉じた瞬間の風速低下は,測定部内の位置によらずほぼ一様に,かつ0.2秒程度と短い時間で生じていることがわかった.すなわち,この条件においては,目標とした性能を満たしていることがわかった. しかし,シャッターを開放した瞬間の風速増加は,シャッターを設置している境界層風洞には上流側に長い測定部が存在することが影響して,7秒程度もの時間を要することが明らかとなった.開発したシャッターを風向変動風洞に設置した場合には,風速増加はもっと速く生じると考えられるが,現状でも風速増速時の気流特性を把握しておくことが重要と考えられるため,来年度は,シャッター設置部を改良して,増速も短時間で生じさせることができるようにして測定を行うことを計画している.
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