2009 Fiscal Year Annual Research Report
海水環境下で生じる石灰・セメント混合処理土軟化現象の解明と評価に関する研究
Project/Area Number |
21360228
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
林 重徳 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 客員研究員 (80112308)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末次 大輔 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 准教授 (30423619)
|
Keywords | 石炭混合処理土 / セメント混合処理土 / 海水 / 軟化 |
Research Abstract |
本研究では海水環境下にある石灰・セメント混合処理土の軟化現象を解明するために,人工海水の濃度(NaCl濃度),浸漬時間,ならびに処理する有明粘土の初期含水比,固化材混合量を変化させて,混合処理土の物理的,力学的および化学的性質の変化を詳細に調べた.固化処理土の軟化は海水との接触面から処理土内部に向かって進行し,その進行速度は海水の濃度が高いときほど,固化材(石灰およびセメント)混合量が少ないものほど速いことを明らかにした.また,混合処理前の有明粘土の初期含水比は軟化にほとんど影響を与えないことを明らかにした.さらに,固化処理土中の軟化した部分では固化成分であるCaの減少ならびに海水に含まれていたと考えられるMgの処理土内部への浸入・沈殿が観察された. 次に,海水の主要成分が軟化に及ぼす影響を調べるために人工海水,NaCl溶液,MgCl_2溶液,MgSO_4溶液を使ったバッチ試験を実施した.その結果,Mg塩を含む溶液では溶液中のCa濃度が増加し,それに伴いMg濃度が著しく減少することが確認された.これは固化処理土の軟化部分におけるCa減少,Mg増加現象と一致する結果である.よって海水環境下における混合処理土の軟化にはMgの影響が極めて大きいことが示唆される. 本研究以外に海水環境下における固化処理土の性質変化に関する報告は極めて少なく,それらほとんどはNaCl溶液を使用して研究されており,"真の海水"を用いた研究は他に例を見ない.本研究は海水に15%程度しか含まれていないMgが固化処理土の軟化の支配的な物質であることを明らかにしており,この結果は海水と接触する海水環境下にある固化処理土の性質変化の解明ならびに耐久性評価手法の開発に大きく貢献できる.
|