2011 Fiscal Year Annual Research Report
河川の樹林化・草原化に及ぼす土壌栄養塩特性と供給源の把握と河川に向けた提言
Project/Area Number |
21360232
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
浅枝 隆 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40134332)
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Keywords | 河川管理 / 樹林化 / 窒素 / ヤナギ / ニセアカシア |
Research Abstract |
荒川熊谷の砂州に引き続き、利根川、烏川合流点において、河岸の堤防から水際に至る区間について、トランゼクトを設定し、土壌粒径および水分、栄養塩濃度、樹木による射影、植物種およびそれぞれのバイオマスについてサンプリングを行った。さらに、多摩川の府中四谷橋近郊、大栗川合流部、狛江水辺の楽校の河岸、また、黒部川河口より4.4および8.8kmに位置する砂州においても同様の観測を行った。 これらの結果を基に、草本類を、バイオマスの大きいオギやヨシ、ツルヨシなどの大型イネ科植物とその他の植物に分け、それぞれのバイオマスを、土壌窒素濃度、土壌粒径、近隣の樹木の密度の関数として表す、経験的な関数形を作成した。次に、これらの地上部バイオマスの割合を経験的に表し、これが冬季に枯死し、分解されることによって土壌に還元される窒素量を経年的に評価する形に発展させた。一方で、観測の結果および他の報告を合わせ、ニセアカシア、ヤナギについて、洪水時の樹木の定着割合、成長の過程における自己間引き率を、洪水規模や洪水時期、冠水深等の関数として経験的に求めた。また、観測値より、樹木個体の生長に伴う形態特性、バイオマスを樹齢に関するアロメトリー関数として求めた。 以上の結果を総合して、洪水後、植生が流失した砂州において、洪水によって樹木の種子が定着、発芽、生長の過程において、さらに、文献等から得られる、大気負荷等の値を導入することによって、草本類のバイオマスの変遷、土壌窒素濃度の変化のシミュレーションを可能にするモデルを作成した。さらに、その結果を荒川熊谷砂州における観測結果に適用し、十分な精度を持った予測が可能であることを確認した。これによって、砂州土壌中の窒素濃度の変化、供給源の内訳が明確になることから、主たる供給源をある程度予測することが可能になった。
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