2010 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化による台風強大化評価と減災戦略・対策のための台風外力予測システムの開発
Project/Area Number |
21360234
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安田 孝志 岐阜大学, 工学研究科, 教授 (10093329)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 純 岐阜大学, 工学研究科, 助教 (70377688)
村上 智一 独立行政法人防災科学技術研究所, 水土砂防災研究部, 研究員 (80420371)
|
Keywords | 台風 / 高潮 / 地球温暖化 / 防災 / 減災 / 自然災害 |
Research Abstract |
温暖化シナリオの下での台風の強大化とそれによる高潮を大気・海洋力学的に計算し,温暖化時の台風・高潮災害の減災戦略・対策に必要な台風外力予測システムの開発を目的に研究を行い,各研究計画毎に以下の成果を得て論文・国際会議発表等を行った. 1) 温暖化シナリオの下の気象・海象場の選択 IPCCの温暖化シナリオA1Bの下で将来気候の気象・海象場を選択し,そこに伊勢湾台風級の台風を発生させるため,軸対象モデルによる台風強度に関する感度実験結果に基づき,気象・海象場を可変的に扱える台風渦位ボーガス手法の開発を行った. 2) バースト層モデルを用いた渦拡散モデルと強風下バルク式の導出 上陸時の台風強度の予測精度向上に必須となる台風直下の運動量・熱フラックスのバルクモデルの開発をバースト層モデルに基づいて行った. 3) 対象台風の初期位置設定法の開発とその高精度化 大気・海洋力学の基礎方程式の下で初期位置を設定できる台風渦位ポーガス手法を開発し,その精度検証を台風9918,9920,0003および0155号の4事例によって行った. 4) コース同化型計算法の開発 大気・海洋力学の基礎方程式の下で台風を対象地点に最悪と目されるコースに沿って進ませることができるナッシング法に基づく台風ボーガス4次元コース同化手法を開発した.これを気象モデルに組み込んで海洋および波浪モデルと結合させることによって,三河港に既往最大となる潮位偏差2.6mの高潮を発生させ,コンテナ散乱などの被害を出した台風1018号による高潮の再現計算を行った.その結果,実測値2.60mに対して誤差0.01mで再現できることを示し,開発した手法によって対象地点毎の最悪の高潮予測とそれに基づく減災戦略・対策が可能となることを実証した.
|