2011 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化防止のための下水・排水処理における耐酸素性脱窒素微生物活用技術の研究
Project/Area Number |
21360258
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
遠藤 銀朗 東北学院大学, 工学部, 教授 (80194033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 寛治 東北学院大学, 工学部, 教授 (90382655)
宮内 啓介 東北学院大学, 工学部, 准教授 (20324014)
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Keywords | 地球温暖化ガス排出削減 / 温室効果ガス / 亜酸化窒素 / 耐酸素性脱窒素細菌 / 分子生物学的解析 |
Research Abstract |
廃水処理プロセス等から発生する亜酸化窒素(N_2O)は、温室効果ガスによる温暖化要因の7.9%を占めると言われている。活性汚泥法などの廃水処理プロセスでは、微好気条件のような不完全な脱窒条件において脱窒細菌が保有するN_2O還元酵素の活性を阻害されることによって、N_2Oを発生すると考えられている。そこで本研究では、微好気条件下でも活性が阻害されない耐酸素性N20還元酵素を保有する特殊脱窒細菌Pseudomonas stutzeri TR2株用いて、この細菌の生育特性および活性汚泥に導入するモデル実験を行い、N_2O抑制効果について検証したその結果、耐酸素性脱窒細菌P.stutzeri TR2株は微好気条件下で亜硝酸および硝酸を脱窒源基質として脱窒反応条件下で同等の増殖が可能であることが知られた。バイアル瓶実験では、TR2株を加えるとN_2Oの濃度の減少を確認することができ抑制効果があることを確認することができた。活性汚泥にTR2株を加えることでN20を抑制する可能性を確認できた。 アンモニア酸化細菌およびN_2O還元能を有する脱窒細菌がコンポスト化の進行に伴ってどのように変化するのかを明らかにすることを目的とし、実験および解析を行った。養豚廃棄物を原料としたコンポスト製造プロセスにおける、コンポストの物理化学的性状の解析や、NH_3酸化酵素遺伝子(amoA)およびN_2O還元酵素遺伝子(nosZ)の定量およびクローン解析を行い、コンポスト中の硝化脱窒細菌の存在量および多様性について調査した。その結果、一般的なコンポスト製造法である単純切り返し発酵法と高温前処理-切り返し発酵法を比較すると、N_2Oの発生時期や無機窒素化合物量の変化のパターン、amoAおよびnosZの存在比や各系統型の存在比が大きく異なることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
亜酸化窒素生成量の少ない耐酸素性脱窒素微生物系を選出し、低濃度の酸素存在下でも完全脱窒素反応を行いうる微生物の純粋培養(pure culture)を得たこと。耐酸素性脱窒素微生物が保有する特徴的な亜酸化窒素還元遺伝子(NosZ)の塩基配列の解析と、この塩基配列を標的とした微生物の分子検出マーカーを決定し、さらには、亜酸化窒素還元酵素遺伝子であるNosZ遺伝子の転写発現の状況を定量的に評価するために、NosZ酵素タンパク質情報をコードするmRNAのコピー数を定量し、脱窒素活性および亜酸化窒素生成抑制との関連を解析することができたことから、研究は当初計画通りに概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
排水処理システムにおいて完全には避けられない微好気条件においても、亜酸化窒素を発生させることのない脱窒素生物リアクターの制御条件を明らかにする。そのために、耐酸素性脱窒素微生物の優先増殖条件、特に脱窒素過程においてより有利に増殖のためのエネルギーを獲得するための生理的条件(酸素濃度、酸化還元電位、温度、pH、BOD濃度、C/N比、など)を明らかにし、耐酸素性脱窒素微生物の増殖速度に応じた脱窒素生物リアクターの最適固形物滞留時間(SRT)および水理学的滞留時間(HRT)の運転操作条件を決定することが課題として残されており、平成24年度の研究としてこれらに取り組むことにしている。
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[Journal Article] Survival of the aerobic denitrifier Pseudomonas stutzeri strain TR2 during co-cultures with activated sludge under the denitrifying conditions2012
Author(s)
Morio Miyahara, Sang-Wan Kim, Shengmin Zhou, Shinya Fushinobu, Takeshi Yamada, Wakako Ikeda-Ohtsubo, Akira Watanabe, Keisuke Miyauchi, Ginro Endo, Takayoshi Wakagi, and Hirofumi Shoun
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Journal Title
Bioscience Biotechnology and Biochemistry
Volume: Vol.76,No.3
Pages: 495-500
DOI
Peer Reviewed
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