2011 Fiscal Year Annual Research Report
建築物の地震時損傷制御を目的とした同調粘性マスダンパー制振システムの開発
Project/Area Number |
21360260
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十子 幸樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20521983)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 範夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50250725)
|
Keywords | 同調粘性マスダンパー / 定点理論 / ダイナミック・マス / モーダルアナリシス / 長周期地震動 / 制振構造 / 軸力制限 / 回転慣性質量 |
Research Abstract |
本年度の研究により、下記の成果を得た。 1.同調粘性マスダンパーのモード応答特性の解明とその設計への応用 同調粘性マスダンパー制振システム付き多層構造物は、非比例減衰系となるため、そのモード応答特性は複素固有値解析による必要がある。今年度は、まず当該制振システムの複素モードと、それを用いたモード応答特性を明らかにした。その結果、同調粘性マスダンパー制振システムは、同調モードのみについて減衰を変化させるが、モード形については殆ど変化させないことを明らかにした。このことにより、当該システムが、ダンパー無し架構の実固有値解析結果を基に設計可能であることを明らかにし、それに基づいた実用的設計法を提案した。特に超高層建物の設計において、一般に制振構造はモードに基づく設計が困難であることから、この成果の設計的な意義は大きい。 2.回転摩擦機構を用いた同調粘性マスダンパーの軸力制限 同調粘性マスダンパー制振システムに、同調周期と一致する入力があると、既往のダンパーよりも大きな応答軸力を発生するおそれがあるので、そのような入力や、想定外の入力に対する安全機構として回転摩擦機構を用いた軸力制限機構を提案し、実大ダンパーの試作、単体加振実験を成功させている。 3.研究成果発表 同調粘性マスダンパーの基本原理に関する検討結果と制振縮小試験体実験の結果をまとめた論文が、国際専門誌Earthquake Engineering & Structural Dynamicsに掲載された他、審査付き論文5編(内英文2編)が採用されている。また、EuroDyn2011(ベルギー)、CC2011(ギリシャ)、CTBUH2011(韓国)などの国際学会、および国内の学会で成果を発表している。
|