2011 Fiscal Year Annual Research Report
大空間構造に作用する非定常空気力の発生機構の解明と耐風設計への応用に関する研究
Project/Area Number |
21360261
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
植松 康 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60151833)
|
Keywords | 大空間構造 / 非定常空気力 / 風洞実験 / 数値流体解析 / 耐風設計 / 空力剛性 / 空力減衰 |
Research Abstract |
本研究では,大空間構造の基本形として二次元円弧屋根を対象とし,境界層乱流中において逆対称1次モードで振動しているとき,屋根面に作用する非定常空気力(振動依存風力)の特性を数値流体解析(CFD,Computational Fluid Dynamics)により把握し,空力剛性係数(変位比例成分)並びに空力減衰係数(速度比例成分)として捉えた。非定常な流れを扱うため,CFD解析ではLES(Large Eddy Simulation)を用いた。ライズ・スパン比(r/S)は,大空間構造の代表的な値である0.15とした。まず,平成22年度に実施した風洞実験を適切にシミュレートできるよう,解析領域の設定,流入変動風の作成,各種乱流パラメータや境界条件の検討を行った。平均風速や乱れの強さ,非振動時に屋根に作用する平均風圧係数に対して,すべてを完全に再現することはできないが,概ね満足できる結果が得られ,現時点において最適と考えられる条件を見い出した。 次に,屋根面を一定振幅aおよび一定振動数fmで強制的に振動させたときの屋根面まわりの流れ場を計算し,屋根に作用する非定常空気力を空力剛性並びに空力減衰として評価した。風洞実験では装置の制約上fmは最大40Hz程度までであったが,CFDでは160Hzまで拡大した。実験を行った範囲内での挙動を概ね再現できることを確認した上で,強風中の実大スパン構造の無次元周波数範囲における性状の把握が可能となった。また,風洞実験並びにCFDから得られた空力剛性係数並びに空力減衰係数を通常の動的応答解析の中に組み入れる方法を提案した。いくつかのケーススタディによれば,非定常空気力の作用によって固有振動数が低下し動的応答が増大することが示され,より合理的な設計を行うには,屋根と気流との相互作用を考慮した解析の必要性が示された。
|
Research Products
(2 results)