2011 Fiscal Year Annual Research Report
木質偏心住宅の捩れ応答と制振壁による捩れ応答制御に関する研究
Project/Area Number |
21360265
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂田 弘安 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (80205749)
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Keywords | 木質立体架構 / 捩れ応答 / 剛性偏心 / 制振構造 / 柱横架材接合部 / ビス・引寄せボルト / 履歴モデル / 数理モデル |
Research Abstract |
建物の捩れと水平構面のせん断変形を考慮した複雑な振動現象を数学的に表すことが可能となる数理モデルを開発した。本モデルを用い、水平構面の剛性が低い構造物の性能評価を行った。 1×1スパンの場合,水平構面がせん断変形すると直交壁の変形が低下するが、これを直交壁の剛性が低下することに置き換え、「有効直交壁剛性比」ならびに「等価偏心率」という既往手法にはない新たな性能評価指標を提案した。これらは水平構面の低い剛性が、建物の全体挙動におよぼす影響を端的に表すものである。水平構面の剛性を表す無次元特性値(ω_y/ωθ)が低下するほど有効直交壁剛性比が低下し、従来の剛床仮定に基づく偏心率よりも等価偏心率が上昇することを示し、さらにその影響を定量的に求めることが可能となった。 また、本評価法に基づき、水平構面を概ね剛床とみなして十分なクライテリアも提案した。これらから、制振構造においてダンパー効率を低下させかねない水平構面のせん断変形を抑制し、効果的な制振設計を実現するための基礎を築くことができた。 その他、木質構造の剛性偏心を矯正するための方杖型制振架構の動的載荷実験を行った。制振架構の動的特性は、付与するダンパーの特性や大きさだけでなく、それを支持する接合部や周辺部材などの剛性のバランスによって決定づけられ、従来は試行錯誤的に最適なダンパー量を模索するようなことが行われてきた。しかし、本研究では制振架構のダンパーを除いた状態での静的実験のみから、制振架構をダンパーとその直列バネ、並列バネの3要素に変換する理論を応用し、様々なダンパー量に対する制振架構の性能を網羅的に視覚化する手法を提案した。この手法により、制振架構の開発に関わる労力を大幅に省くことができるようになった。
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