2009 Fiscal Year Annual Research Report
流域を基盤とする自然共生都市の形成に関する都市計画論的研究
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21360287
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 幹子 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (30296785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
厳 網林 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (10255573)
大澤 啓志 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (20369135)
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Keywords | 流域圏 / 自然共生都市 / 都市環境計画 / ビオトープマップ / シナリオ評価 |
Research Abstract |
本研究は、低炭素化社会、循環型社会、自然共生型社会など、地球環境問題の解決、緩和に向けた取り組みの基盤に横たわる"緑地"を、地球上におけるすべての生物にとっての社会的共通資本と捉え、生命を育む持続的都市を「自然共生都市」と定義、その形成に関わる都市計画論の構築を目指すものである。具体的には、(1)都市地域の環境データベースのプロトタイプの提示(2)計画の階層性に対応した環境評価手法の開発、(1)(2)に基づく(3)流域圏プランニングの方法論とランドスケープ・エコロジーの理論の統合化と自然共生都市の形成に向けた都市計画の方法論の提示を目標としている。 平成21年度は、日本、アジア、南洋諸島のそれぞれの対象地の実情を反映したデータベースのフレームを検討した。国内外の環境評価に資するデータベースをレヴューし、計画スケールごとに傾向、スケール間での連携を把握した。海外の対象地については、現地調査を行い、空間の生態的・文化的な成り立ちを分析、データベースの構成について検討した。調査を行ったのは、パラオ共和国のバベルダオブ島(8月、2月)、中国四川省都江堰市の農村地域(8月)である。パラオ・都江堰ともに集落と集落を取り巻く屋敷林もしくは森を対象に、空間構造と植生を調査し、人間の活動と生態的な景観構造との関係を分析した。これは、持続可能な土地利用の観点から環境評価の指標を導くものである。また、衛星画像の利用に関しはALOS/AVNIRを用い、緑被率・炭素吸収量の推計に基づいて都市内の緑地を評価した。横浜・川崎を対象とした評価の結果、市街地に点在する民有地の緑が二酸化炭素の吸収源として重要であることが示された。評価手法のみならず、モニタリングやデータベースのあり方を考えるうえでの知見を得たものである。次年度は、これらの成果をもとに、流域を単位とした環境評価手法の開発に取り組む計画である。
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Research Products
(14 results)