2011 Fiscal Year Annual Research Report
流域を基盤とする自然共生都市の形成に関する都市計画論的研究
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21360287
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 幹子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30296785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
厳 網林 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (10255573)
大澤 啓志 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (10255573)
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Keywords | 流域圏 / 自然共生都市 / 都市環境計画 / ビオトープマップ / シナリオ分析 |
Research Abstract |
本研究は、低炭素化社会、循環型社会、自然共生型社会など、地球環樟問題の解決、緩和に向けた取り組みの基盤に横たわる"緑地"を、地球上の生物に対する社会的共通資本、生命を育む持続的都市を「自然共生都市」とし、その形成に関わる都市環境計画手法の構築を目指す。平成23年度は、日本、アジア南洋諸島のそれぞれの対象地において、環境データベースを活用し、空間の生態的・文化的な成り立ち、地域の実情について、更に詳細な調査を行った。 東京圏においては、東京湾埋立地における生態的環境として緑地とバッタ類の生息状況との関係性を分析した。都市内河川流域については、目黒川を対象とした景域について、緑地構造とその変遷を分析している。また、エコロジカルネットワークに向けた生物群毎の移動特性と分散能を整理し、バッタ類を指標に河川敷緑地のコリドー機能を実態調査した。循環型社会に関連して、横浜市を対象に郊外住宅地における太陽光エネルギーのポテンシャルを評価した。東日本大震災に関連し、流域圏における自然共生都市としての復興に向けた基礎的研究として、宮城県仙台市における小流域を基礎とした地域分析を行った。また、震災復興において低炭素かつ災害に提供力ある都市社会の計画方法を検討した。 海外については、パラオ共和国のバベルダオブ島、中国四川省都江堰市の農村地域を対象に行った調査のまとめをおこなった。アジア都市は、中国四川大地震の震災都市である都江堰市の農村地域について、当該地区特有の屋敷林である林盤について、空間構成と植生に関する調査をまとめ、復興の基盤としての可能性について検討した。また、パラオにおいては、祭祀にまつわる植物利用と空間構成として、伝統的集落におけるアグロフォレストも含めた空間構成と人間の生活との結びつきについての分析をまとめ、学会にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度までの基礎的な調査、データベースに基づき、流域圏の実態について生態的環境や文化・歴史的な背景の把握まで進展した。東日本木震災の発生を受け、これまでの研究成果に基づいた基礎的調査を実施し、本手法の計画論としての実践的展開に向けた基礎が出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は最終年度のまとめに向け、自然共生都市の形成に関する都市環境計画について、各対象地において、プランニングプロセスも含めた方法論について検討を進める。特に、東日本大震災の発生とその復興に対する強い社会的要請を受け、実現可能なアクションプログラムの精査と提案については、仙台~仙南地域を中心被災地に展開する。これまでに蓄積された研究成果に基づきながら、実際にワークショップ等を開催するなど、具体的に社会への還元を目指し、流域圏での都市環境計画の理論について検証するものである。
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Research Products
(11 results)