2011 Fiscal Year Annual Research Report
逆都市化時代における拡張概念に基づく持続的都市圏形成のための地域計画に関する研究
Project/Area Number |
21360288
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 隆 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80143824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松行 美帆子 横浜国立大学, 大学院・都市イノベーション研究院, 准教授 (90398909)
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Keywords | 持続可能 / 地域計画 / 少子化 / 広域連携 / 合意形成 |
Research Abstract |
(1)計画課題の抽出 持続可能性に向けた人口の安定に関して、2005年、2000年、1990年の市町村別合計特殊出生率を都市雇用圏別に計算を行い、人口が安定している(合計特出生率が高く、減少が少ない)都市雇用圏、安定しない都市雇用圏を明らかにした。その後、それらの都市雇用圏別の特性を分類した結果、人口が安定している都市雇用圏の特色として、(1)産業都市(とくに自動車産業)、(2)際だった移住政策、(3)発電施設などの大型の施設がある、などの特色があることが明らかになった。 (2)都市圏の意思形成の仕組みと可能性に関する制度論的検討 (a)1対1協定に基づく市町村間連携の現状と課題:定住自立圏構想を推進している地方都市圏でケーススタディを行い、緩やかな連携手法により、従来の広域行政に比べて一部市町村に関わる個別課題を出しやすくなるが、圏域の統一性の確保という点で課題があることが明らかになった。 (b)広域的な経済政策の実証研究:日本及び韓国の広域地域圏を対象に、持続可能な地域に向けた地域の経済活力に関する空間的分布を把握し、現況の政策を関連付けて分析した。使用データは、共同特許データと全国イノベーション調査であり、分析方法は社会ネットワーク分析を行った。また、経済交流の現況を把握した上で、実際の政策のうち、県境を越えた地域産業政策である日本、韓国における産業クラスター政策と、韓国の広域経済圏政策を対象に内容の分析を行い、課題と望ましい方向性を提案した。 (c)空間政策の形成プロセスに関する考察:政策の仮説的側面と政策対象者の協調行動に注目しながら、政策の策定・実施・評価の側面を再検討し、戦後の国土政策を事例に予備的な考察を行った。その結果、戦後の国土政策においても政策の仮説性、実施の実験性が示唆された。また、政策対象者の仮説信頼性が低かったことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的にある都市圏の評価に関する内外の研究動向に関する文献調査を行い、異なる規模の都市圏における持続可能性の変容動向と地域政策の有効性に関して概ね予定通りに調査研究を実施して知見を得てきた。ただ、ケースとしては地方中枢都市圏、地方都市圏を主な対象として実施してきたものであり、大都市圏に関する研究が引き続き必要である。また、持続可能性の5指標については、個別分野ごとに研究を進めてきており、総合的な検討が今後必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
大都市圏に関する研究をより充実させ、かつ持続可能性の5指標を統合的に検討するため、今後の推進方策として、24年度は、東京圏に近接し、かつ首都圏北部の中枢都市圏のひとつである水戸広域圏のケーススタディを行い、日本の首都圏を対象とした課題の把握と政策の有効性の検証を行うとともに、広域ビジョンを提案する実践的活動を通じて、持続可能な都市圏形成のための地域計画の枠組みと実現手法の提示を行う予定である。
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Research Products
(9 results)