2011 Fiscal Year Annual Research Report
変革する時代における新世代学校施設推進の課題と体系化に関する研究
Project/Area Number |
21360289
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮本 文人 東京工業大学, 教育環境創造研究センター, 教授 (20143688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 麻衣子 東京工業大学, 教育環境創造研究センター, 助教 (90361790)
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Keywords | 学校建築 / 小学校 / 中学校 / オープンスペース / 教科教室型運営方式 |
Research Abstract |
適宜、追加的収集調査、訪問面談調査、観察調査等を行いながら、研究課題別に開発した図面データの記述方法や解析方法等に基づき本格的に分析を行い、以下に示す所期の結果を求めた。 (1)研究課題I 先進事例における空間利用変化からみた学校施設計画の課題 日本および欧米の学校における先進事例の資料について、教育体系と学校施設の関係、教室、教科教室、管理所室など諸室構成を整理した。また、収集した学校施設の平面図について、簡易記述方法を用いて平面構成や機能配置の特色を比較し、さらに、敷地条件、敷地周辺道路、平面構成の相互関係について分析を行った。これにより、欧米では、日本のように数多く特別教室を整備していないこと、平面形状がより自由で直行軸に規定されていないこと等を把握した。 (2)研究課題II 学習活動の多様化に対応する学習空間利用計画の方向性 授業における学習内容、学習活動、学習集団、学習形態、学習場所等の相互関係を規定するオープンスペースにおける家具について、典型的な配置を抽出して、類型化を行った。小学校においてオープンスペースと教室間に可動間仕切りを設けると、囲い込む結果に繋がることが多いこと等を示した。また、授業時の活動利用状況を通して、教室ユニットにおいて普通教室の位置によりオープンスペースの授業時利用に差異が生じることを捉えた。 (3)研究課題III 授業編成の変革に対応する教室整備の方向性 教科教室型中学校の課題を整理するとともに、教室配置・校舎平面を整理した。また、選択授業、少人数授業、教員数等いくつかの条件下で、開発した時間割作成方法に基づき学級規模に応じた教科別必要教室数算定を試行した。 これにより、教科教室型運営においては、学級規模が大きくなると、かなり少ない教室数で運営できる可能性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)研究課題I「先進事例における空間利用変化からみた学校施設計画の課題」については、欧米の学校建築に関する資料収集が予想以上に順調であったため、研究も進んだ。 (2)研究課題II「学習活動の多様化に対応する学習空間利用計画の方向性」については、本格的な分析を行うと同時に、一部、論文としてまとめることができた。 (3)研究課題III「授業編成の変革に対応する教室整備の方向性」については、開発した時間割作成方法と教科別必要教室算定方法の試行結果が順調で、本格的な分析にも踏み込めた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、順調に研究が進んでいるので、最終年度終了後の研究継続についても検討したいと思っている。とりわけ、資料を分析しながら欧米の学校建築や教育制度と比べると、日本では学級当りの児童数・生徒数が多く、特別教室の整備も過剰で、平面構成も直行軸が基本になっており、硬さが感じられる。教育におけるオープンスクールの影響については、米英豪における衰退後、導入されたこともあり、日本独自の展開がみられる。是非は別にして、欧米との比較を通して日本の小中学校の教育と建築の在り方を探っていきたい。
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Research Products
(3 results)