2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21360305
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
川本 重雄 Kyoto Women's University, 家政学部, 学長 (40175295)
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Keywords | 東アジア / 宮殿 / 宮殿儀式 / ベトナム / 朝鮮 / 中国 / 即位 / 政務 |
Research Abstract |
本年度は即位と政務をテーマに宮殿儀式に関する研究と2回の研究会を実施した。日本の天皇の即位儀礼は、平安時代以降踐祚・即位・大嘗祭の順に行われる。踐祚の儀は内裏紫宸殿で行われる。天皇と皇太子が紫宸殿に置かれたそれぞれの倚子に座った後、5位以上の官人が紫宸殿南庭に整列譲位の宣制がなされ、続いて官人の再拝、官人退出後皇太子が南庭に降り天皇に再拝する。即位では、天皇が大極殿の高御座に出御し、群臣が大極殿南庭に列立し、即位の宣制が行われる。朝賀と異なり臣下による奏賀・奏瑞はない。大嘗祭は、八省院における神事、豊楽院における辰・巳の日の饗宴、午の日の節会と続く。こうした即位儀礼における空間的特徴を述べると、天皇に占有される建物と天皇と公卿が共有する建物に大きく区分できる。つまり、大極殿は前者、豊楽殿は後者であり、踐祚の儀における紫宸殿も前者に近い使用法が見られることが指摘できた。紫宸殿は元日など節会の場としても利用され、その時は後者の使用法が見られるので、内裏正殿である紫宸殿が二重の性格を持った建物であることがわかる。 一方、政務では『西宮記』『江家次第』に記される旬儀、官奏、除目、叙位の空間と次第について分析した。旬儀が紫宸殿で行われる時、紫宸殿の母屋に天皇の倚子、南庇に王卿の席が設けられる。官奏・叙位・除目の時は清涼殿東面が利用されるが、天皇の座が東庇にあるのに対して、大臣や公卿の座は東広庇に設けられる。節会では天皇の座も王卿の座も紫宸殿母屋にあるのだが、政務では天皇と王卿の座が明確に分けられる。 なお、これらの点について、連携研究者・研究協力者の協力を得て、日韓中越の宮殿儀式と比較研究した。
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