2011 Fiscal Year Annual Research Report
チタン酸ストロンチウム結晶中の転位に形成させたナノ細線デバイスの作成
Project/Area Number |
21360306
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 剛久 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20220478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 照康 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (70422334)
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Keywords | チタン酸ストロンチウム / 転位 / 粒界 / 高分解能像 / 小傾角粒界 / 陽イオン不定比 / 粒界構造ユニット / PLD |
Research Abstract |
一次元の結晶格子欠陥である転位コアは、周囲の結晶と比較して格子歪やそれに伴う応力場を有しており、添加元素などの高速拡散現象であるパイプ拡散を示すことが知られている。この高速拡散を利用すると転位コア部分へのみ添加元素を拡散させたユニークな転位細線を作製することが可能となる。本研究ではこのような転位へ元素を拡散させた転位細線の作製を目標として、SrTiO3結晶における特に陽イオン空孔の形成メカニズムと格子不整合領域の原子構造との相関性を明らかにすること、格子不整合領域の点欠陥形成挙動の制御法の確立をおこなうこと、特異な物性を発現する粒界転位原子構造を探索し、コア構造と物性との相関性を明らかにする。SrTiO3結晶における転位コアへの他種イオンの拡散による転位ナノ細線の作製に挑戦することを目的として研究を進めてきた。 まず、陽イオン比の制御については実験手法の簡便さからPLD法を用いた薄膜において陽イオン比変化とその原子構造変化との相関を調べ、Sr過剰ではSrO層が形成されること、Ti過剰ではSr空孔がクラスタリングすることを突き止めた。また、粒界転位導入を念頭において各種方位関係における粒界原子構造形成について調べたところ、非常に対称性のよいΣ3粒界においても粒界に陽イオン比の不定比を有する独特の粒界構造ゴニットが現れることを明らかにした。最終的にSrTiO3小傾角粒界において粒界転位を導入し、その転位コアにおける陽イオン比の不定比性を利用した転位細線の作製を行った。
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