2011 Fiscal Year Annual Research Report
プラセオジムニッケル酸化物における巨大酸素透過能の発現機構
Project/Area Number |
21360318
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
八島 正知 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00239740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 達己 九州大学, 工学研究院, 教授 (80184555)
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Keywords | 結晶構造解析 / 酸素透過能 / 混合伝導体 / 電子密度解析 / 中性子回折 |
Research Abstract |
本研究では,酸素透過性に優れた銅およびガリウムを添加したプラセオジム・ニッケル酸化物を試料に用い,高温中性子回折データを用いて構造解析を実施した。昨年度の試料はプラセオジムが欠損している。X線の代わりに中性子を用いることで,電子による擾乱を避けて,原子核の分布を捉えることに成功した。また,測定試料を高温に保持したままで測定できる高温加熱装置を利用し,もともと酸素イオン伝導度が高い材料を最高1010℃という高温で測定したので,常温ではわからないイオンの分布を鮮明に捉えることができた。得られた高温中性子回折データをリートベルト法,情報理論に基づく最大エントロピー法,全パターンフィッティングを組み合わせたMPF法(MEM-basedPatternFittingmethod)により解析し,結晶構造内の酸素イオンの複雑な三次元分布を導き出すとともに,酸素イオンの分布状態を可視化することに成功した。その結果,酸化物イオンは結晶構造内で,二次元の連続的に広い範囲に渡って分布していることが判明し,酸化物イオンの拡散経路を明らかにすることができた。可視化された酸素イオンO^<2->の拡散経路はO2-O3-O2のように曲がりくねってab面内を2次元的に移動することがわかった。O3酸素原子は過剰な酸素原子である。O2酸素原子は大きな異方性熱振動を示す。さらに,温度を変えて測定したデータの解析も実施した。低い温度では局在していた酸化物イオンが温度の上昇とともに拡がって,O2-O3-O2のように連結して移動しやすくなることを突き止めた。これは酸素透過性が温度上昇とともに向上する原因になっていると考えられる。
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Research Products
(17 results)