2011 Fiscal Year Annual Research Report
グレインエンジニアリングによるニオブ系無鉛圧電セラミックスの高性能化
Project/Area Number |
21360323
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柿本 健一 名古屋工業大学, 准教授 (40335089)
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Keywords | 環境材料 / セラミックス / 電子・電気材料 / 誘電体物性 / 圧電体 |
Research Abstract |
電圧を加えると機械的に動く圧電セラミックスは、プリンターのインクジェット部品、超音波振動子など各種電子部品として用いられているが、その多くは鉛含有素材である。そこで、無鉛化研究が鋭意進められているが、性能向上とその耐久性に困難が常につきまとい、その研究開発が難航している。そこで、本研究ではニオブ系無鉛圧電セラミックスの物性増強を図ることを目的として、高性能化が容易となる無鉛圧電セラミックスの新材料設計指針の構築と実践を図った。 最終年度はこれまでの知見を結集して、ニオブ系無鉛セラミックスのグレインエンジニアリングを実施した。具体的には遠心分離器を利用して、回転数等を制御しつつ試験管中で沈降操作を繰り返し、サイズ分布が異なる分級セラミック粉末を得た。 リートベルト解析によって、粒子径増加に伴う結晶格子の拡張が確認されたため、ニオブ系の分極起源であるNbO_6八面体体積と結合角の変化を原子座標に基づいて調べた結果、その変化は結晶格子の体積変化と同一の傾向を示すことを確認した。Nb-O結合角の増加はO-Nb-Oの原子配列が直線状に近づくため、NbO_6八面体構造中におけるNb変位量の減少とみなして考えることができる。つまり粒子径増大に伴いNb原子はNbO_6八面体構造の中心に移動したことを確認した。これらは放射光EXAFS結果とも一致した。 上記データに基づいて自発分極量(P_s)を計算したところ、粒子径2.4μmか9ら7.0μmの間でP_sが最も大きく、これよりも粗大粒子径の場合には著しく低下することが判明した。すなわち、粒子サイズ分布がバルク特性に少なからず影響を及ぼす可能性があり、高性能化にはグレインエンジニアリングによる微構造組織の最適設計が必要となることを証明した。
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Research Products
(36 results)