2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21360325
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
稲熊 宜之 学習院大学, 理学部, 教授 (00240755)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 大輔 学習院大学, 理学部, 助教 (00432021)
勝又 哲裕 東海大学, 理学部, 准教授 (90333020)
|
Keywords | 高圧合成 / 酸化物 / 極性 / 化学結合 / ペロブスカイト / リチウムニオベート / 相転移 / 強誘電性 |
Research Abstract |
本研究では、高圧下での合成を、「化学結合を制御し、形成した化学結合に起因する新規な機能性をもたらす合成プロセス」であると捉え、その応用として極性酸化物の探索合成に取り組み、合成した極性酸化物の結晶構造、強誘電性、焦電性、圧電性、非線形光学特性等の極性に関係する物性および電子構造を実験および計算の両面から詳細に調べ、化学結合の観点からこれらの相互関係を明らかにすることを目的としている。以下に本年度の研究成果の概要を示す。 高酸素圧下で合成されるペロブスカイト型極性酸化物Bi_<1/2>Ag_<1/2>TiO_3において、放射光x線回折実験により結晶構造の観点から室温以上の相転移挙動について調べ、誘電性との関係について明らかにした。また、Agに対してNaを置換固溶することにより、絶縁性が向上し、分極の電場依存性から強誘電性が確認された。さらにLiNbO_3型酸化物MnMO_3(M=Ti,Sn)の高圧合成を行い、結晶構造、非線形光学特性、誘電性および磁性を調べ、その相関について議論した。その結果、これらの物質が極性を持つこと、またMn-O-Mn間の反強磁性的超交換相互作用に基づく弱強磁性の出現およびその転移温度での誘電率の異常が確認され、マルチフェロイクスの候補物質しての可能性が示唆された。また、第一原理計算によりLiNbO_3型極性酸化物ZnSnO_3の電子構造を調べ、極性と化学結合との関係、高圧での相安定性を明らかにした。さらに、高圧下でのLiNbO_3型酸化物の相転移挙動および反応挙動について明らかにするため、ダイヤモンドアンビルセルおよびキュービックマルチアンビル型高圧高温発生装置を用いた高圧下での放射光X線回折実験に着手した。
|
Research Products
(8 results)