2011 Fiscal Year Annual Research Report
白色LED用蛍光体を目指したCuクラスターイオン含有分相ケイ酸塩ガラスの創製
Project/Area Number |
21360326
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
安盛 敦雄 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (40182349)
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Keywords | 発光 / ホウケイ酸塩ガラス / 銅イオン / 分相 / クラスタ / 発光ダイオード |
Research Abstract |
平成21-22年度で得られた知見を基に、同様の方法を用いてホウケイ酸塩を中心に組成を拡大して探索を行いながら種々の分相ガラスを作製し、Cuイオンの価数制御と発光特性および最適なガラス組成について調査を進め、以下の結果を得た。 Cu_2OとSnO(還元剤)を添加したNa_2O-B_2O_3-SiO_2(NBS)系ガラスを作製し、ガラス組成およびCu_2O、SnOの添加量を変化させた試料の吸収・発光特性を調べることで、ガラス組成、Cuイオン濃度、SnO濃度によるCuイオンの価数変化および発光挙動への影響を調査した。その結果、SnOの添加により紫外域の光吸収端および励起スペクトルが長波長側へシフトしたことから、Snイオンには、Cuイオンの還元作用の他にCu^+クラスタを形成しやすくする働きがあることを明らかにした。また、Cu^+クラスタによる発光強度を増大させるためには、クラスタの形成量を増加させると共に、ガラス内部のCu^+クラスタを発光させるため、試料の厚さを適切に制御する必要があることを明らかにした。 また、NBS系ガラスに第4成分としてアルカリ土類金属酸化物であるCaOを添加した組成のガラスについて、組成変化によるCuイオンの発光挙動について調査した。その結果、CaOの添加により発光強度が大幅に増加した。これは、分相組織中でCu、Snイオンが濃集するNa_2O-CaO-B_2O_3rich相で、Na^+イオンよりもイオン半径が大きいCa^<2+>イオンの増加により、Cu、Snイオンの近接および熱還元作用によるCu^+イオンの生成、孤立Cu^+イオン同士の近接によるCu^+クラスタが形成しやすくなったことによると考えられる。 これらの結果から、分相組織の組成、形態などに与える組成の影響をさらに精査し、それらを制御することで、Cu^+クラスタによる高い黄色発光強度を示す蛍光ガラスが得られると考えられる。
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Research Products
(3 results)