2009 Fiscal Year Annual Research Report
ブロック共重合体の自己組織化能による架橋高分子複合材中のナノシリンダー相構造形成
Project/Area Number |
21360331
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
岸 肇 University of Hyogo, 工学研究科, 教授 (60347523)
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Keywords | ネットワークポリマー / ポリマーアロイ / 相分離 / エポキシ / ブロック共重合 / ナノシリンダー / 架橋 / 靭性 |
Research Abstract |
リビングアニオン重合により分子量分布を制御したPMMA-PnBA-PMMAトリブロック共重合体を用い、エポキシ樹脂/硬化剤とのブレンド樹脂中に硬化過程で形成される相構造を、硬化剤を変えて比較した。具体的にはエポキシ樹脂としてdiglycidyl ether of bisphenol-A (DGEBA,エポキシ当量189g/eq)を用い、次の4種の硬化系を比較した。すなわち、芳香族アミン系硬化剤4,4'-diamino diphenyl sulphone (DDS)、フェノール系硬化剤phenol novolak (PN)、酸無水物系硬化剤 methylnadic anhydride (MNA)、アニオン重合系硬化触媒tris (dimethylaminomethyl) phenol (DMP)である。改質剤にはPMMA-PnBA-PMMAトリブロック共重合体((株)クラレ製,MMA含有率31wt%,重量平均分子量149000,分散度1.41)を用い、樹脂中に20wt%添加した。 4種の改質剤添加樹脂硬化物のうちPN硬化系のみが透明性を有した。DMA評価を行ったところ、アミン系、酸無水物系、アニオン重合硬化系ではPnBAのTg由来の弾性率低下(-40℃付近)が認められたが、PN硬化系はエポキシ樹脂/硬化剤のTgに相当する温度まで大きな弾性率低下を示さなかった。これらは、同じブロック共重合体を用いても硬化剤により相分離構造形成メカニズムが異なることを示唆する。SEM、TEMおよびAFMを用いた相構造観察を行ったところ、アミン系、酸無水物系、アニオン重合硬化系にはミクロンサイズの相構造が存在するが、PN硬化系のみがPnBAを主成分とする直径約30~40nmの規則的なシリンダー構造を有することがわかった。ブロックポリマーの一方のセグメントと相溶性の高いエポキシ樹脂/硬化剤を選択したときに、ブロック共重合体の自己組織化能力がブレンド樹脂中で活かされナノサイズの相構造が形成されたと考えられる。
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