2010 Fiscal Year Annual Research Report
優れた発熱能と生体適合性を有する磁性材料の開発と作製法の確立
Project/Area Number |
21360341
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
青野 宏通 愛媛大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00184052)
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Keywords | 交流磁場 / 磁性材料 / 癌治療 / 発熱特性 / フェライト / ヒステリシス損失 / 微粒子 / DDS |
Research Abstract |
新しい癌の治療法として磁性材料の交流磁場中での発熱を利用する交流磁場焼灼療法が期待されている。本研究はおおまかに3種から成っている。(1)物理的にビーズミルを用いて粉砕混合したフェライトの発熱特性及び発熱機構の解明、(2)新規イットリウムガーネット系Y_3Fe_5O_<12>についての発熱能及び発熱機構(3)スプレードライ法によるフェライトの球状化、である。(1)については、従来のマグネタイトと(2)のイットリウムガーネットについて検討を行い、結晶子径が数nm~数十nmの粉砕ナノ微粒子を得ることが出来、これにより発熱能が著しく向上することがわかった。また、500℃程度の低温焼成が発熱能向上をもたらすことについても見いだしている。これは粉砕により形成した超常微粒子が成長したことによると考えられる。単質量あたりの発熱能について、水中に微粒子を分散させ、その昇温速度により明らかにした。その結果、発熱能が周波数fと磁場Hの2乗に比例することが明らかになった。また、発熱機構については、超常磁性体のNeel損失が支配的であることが示唆された。一方、(2)のイットリウムガーネットについては1100℃で焼成した強磁性体であり、発熱能が周波数fと磁場Hの3乗に比例することが明らかになった。この3乗に比例するのは材料の保磁力が磁場の2乗に比例するためであることが明らかになっている。(3)については、肝臓癌などへの塞栓療法への応用が目的であり、20~30nm程度の球状粒子を高い収率で作製するというものである。我々は、スプレードライに供給するフェライトの懸濁液の濃度、送風量、温度などの条件を決め、さらに得られた様々のサイズの球状粒子を液中で分級する方法について検討を行い、約6%程度の収率で20~32nmの球状粒子が得ることができるようになった。
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