2011 Fiscal Year Annual Research Report
高精度衝撃変形応答解析に基づくマグネシウム合金のマイクロクラック形成機構解明
Project/Area Number |
21360347
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
向井 敏司 神戸大学, 工学研究科, 教授 (40254429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
染川 英俊 独立行政法人物質・材料研究機構, 元素戦略材料センター, 主任研究員 (50391222)
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Keywords | マグネシウム合金 / 高速変形 / ひずみ速度依存性 / 非底面すべり変形 / 変形双晶 / せん断帯 / マイクロクラック / 溶質原子 |
Research Abstract |
1.高速せん断変形応答 Mg-Y二元合金の押出材を供試材とした。角柱試験片へ二つのせん断面が形成されるようにスリットを設け、高速せん断試験を実施した。通常のマグネシウム押出材では,押出方向と平行に底面が揃いやすいため、押出軸に対して試験片の切出し角度を選択すると、底面,第1錐面、第2錐面、柱面に平行な変形が優先的に活動することを企図した。変形後の破面はせん断方向と平行に形成されていたことから、有限要素シミュレーションにより設定したスリット・ギャップの妥当性を確認した。Mg-Y合金の高速せん断試験により得られたせん断応力-ひずみ関係は、4通りの方向に対してほとんど差異がないことから、底面集合組織の影響が低い場合には、せん断応力の異方性が低くなることがわかった。 2.変形組織解析 二面せん断試験では高速変形の途中で応力除荷が困難であるため、ハット型試験片を用いて、せん断試験を実施した。Mg-Y合金のせん断ひずみは純マグネシウムの場合と比較して大きくなる結果となった。変形途中の試験片について組織観察したところ、結晶粒が微細化され、クラックが鈍化していることを確認した。室温付近の温度で圧縮試験を行った結果、ひずみの増加と共に結晶粒の微細化を確認した。応力と温度の逆数の関係から活性化エネルギーを算出したところ、約250kJ/molの値を示したことから、非底面aすべりの活性化により、動的回復が発現していることが示唆された。 3.マグネシウム合金の高速変形応答と靭性改善 高速変形時にクラックが伝播しにくくなる要因として、イットリウム原子が結晶粒内に偏在すること、あるいは,押出材の底面集合組織が低減されたことにより、非底面すべりの活性化が示唆された。そこで、溝ロール圧延を施すことにより、マグネシウム合金の底面集合組織を低減しつつ、結晶粒を微細化した結果、高強度化とともに靭性値が同時に改善されることを確認した。
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Research Products
(15 results)