2009 Fiscal Year Annual Research Report
差動排気同時成膜技術の確立による次世代型ナノコンポジット膜の創製
Project/Area Number |
21360359
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
野瀬 正照 University of Toyama, 芸術文化学部, 教授 (70269570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池野 進 国立大学法人富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 教授 (70115129)
寺山 清志 国立大学法人富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 教授 (20019219)
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Keywords | 差動排気同時成膜 / 硬質膜 / ナノコンポジット膜 / 機能性薄膜 / r.f.-スパッタリング |
Research Abstract |
I. 差動排気型同時成膜装置の導入と調整 ターゲットを2基有する差動排気型成膜システムを導入し,調整を行った後に成膜テストを実施した.左右のチャンバーで0.1Pa~0.3Paの圧力差を長時間保持できることを確認した.またその状態で金属と酸化物が同時成膜できることも確認した.なおプラズマ分光分析による槽間のクロスコンタミネーションの調査を計画していたが,機器の不具合などにより,次年度に持ち越した. II. ナノコンポジット膜の作製 上記差動排気型同時成膜装置を用いた場合と従来型の成膜装置を用いた場合とを比較するために,本年度は従来型の―槽式成膜装置を用いて,AlON系およびCrAlN/BN系ナノコンポジット膜の作製を行った. (1)AlON系膜:成膜条件を種々検討した結果,基板温度350℃+バイアス印加の最適条件により40GPa以上の高硬度を実現した.この膜は希少金属を全く含まない膜でありながら,遷移金属窒化物系膜と同等以上の優れた機械的性質を有する.またその微細構造はAlNとAlONのナノコンポジット構造を有しており,これが超高硬度の要因であると考えられる. (2)CrAlN/BN系膜:CrAlNとBNを同一チャンバー内でBNを18vol%含むCrAlN/BN膜を成膜した.この膜は成膜のまま状態で約40GPaの高硬度を有するが,それを大気中で700~800℃で加熱すると硬度が30%以上向上し,53GPaの超高硬度を達成することがわかった.さらに同じ膜をArやN_2雰囲気中で同じ温度条件で加熱した場合には硬度はほとんど変化しなかった.大気中加熱で硬度が上昇した膜をXPSによる分析およびEELS-TEMによる観察の結果,Alの酸化物が膜中に分散しており,この存在が超高硬度の実現に寄与しているものと推測される.
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