2011 Fiscal Year Annual Research Report
差動排気同時成膜技術の確立による次世代型ナノコンポジット膜の創製
Project/Area Number |
21360359
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
野瀬 正照 富山大学, 芸術文化学部, 教授 (70269570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 健二 国立大学法人富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 教授 (00209553)
佐伯 淳 国立大学法人富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 教授 (50221255)
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Keywords | 差動排気同時成膜 / 硬質膜 / ナノコンポジット膜 / 高分解能電子顕微鏡 / イオン伝導性 / 多層薄膜 / 酸化還元反応 |
Research Abstract |
(1)ナノコンポジット硬質膜の研究 (1)CrAIN/酸化物膜:Al_2O_xおよびCrAlNの硬度はそれぞれ40GPa,10GPa程度であるが,CrAIN/Al_2O_x膜では約10~50vol%Al_2Oxの広い範囲で40GPa以上の高硬度を維持することがわかった。高分解能電子顕微鏡による詳細な観察の結果CrAIN微結晶間に非晶質相の存在を確認し,ナノコンポジット化が概ね狙い通り形成できたと判断している。 (2)AIN/酸化物膜:AIN単層膜の硬度は25GPaであるが,差動排気型同時成膜法により作製した約10~20vol%sioxを含むAlN/SiO_x複合膜のそれらは約30GPaに増加した。さらにAlN/Al_2Ox膜では約10~50vol%Al_2O_xの広い範囲で30~35GPaという高硬度を示すことが明らかになった。これらの膜の高分解能分析電子顕微鏡による観察・分析の結果,Si,Oは膜中にかなり均一に拡散しているものの,AIN微結晶粒界付近に非晶質酸化物相が存在し,ネットワークを形成していることが明らかになった。この非晶質ネットワークの形成は,本研究の成膜法ならではの結果で有り,膜強度の向上の要因であると考えられる。 (2)機能性ナノコンポジット膜の研究 本システムを用いて酸化物であるCeO_2と金属であるAlの多層薄膜を作製した。隔壁の効果と各ターゲットにおける成膜条件の調整により酸化しやすいAlでさえ独立した層として成膜させることが可能であった。又、Al層が存在することによりCeO_2膜に構造的な歪みを付加できることも分かった。これらの試料の場合、後処理として真空中で加熱するとAlは周りのCeO_2から酸素を奪って酸化し、CeO_2中に酸素欠陥を形成した。CeO_2は酸素イオン導電体であり、酸素欠陥の分布状態や構造歪みはその伝導性に影響を与え、固体電解質と電極間における中間層しての役割だけでなく電解質そのものとしても有効である。成膜条件によってはCeO_2加界面近傍でこれらの反応領域が生成していることも分かっている。本研究ではA1の層の厚さの低減と、層数の増加および成膜時の基板加熱条件を調整し、成膜時に当初想定した構造のCeO_2/Alナノコンポジット膜がより安定して成膜できる条件を引き続き調査している。
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Research Products
(18 results)