Research Abstract |
本研究では,集積型微細電極間に生成したマイクロスケールのプラズマを用いた材料加工プロセスの実現と,マイクロプラズマの加工源としての可能性の探索を目的としている.本年度は,10kV-2mAの絶縁破壊用直流電源と1kV-1Aの直流電源とを高速スイッチで切り替えることで,電流10mA~1Aの広範囲で放電実験を行うことができる電源を試作し,微細電極を用いた放電プラズマの生成,並びに,その加工特性について調べた. 直径1mmのタングステン線を電解研磨により尖鋭化し陰極とし,陽極のステンレス鋼板との間に直流電圧を印加し,大気圧放電プラズマを生成した.このとき,雰囲気ガスにはアルゴンガスと窒素ガスを適用した.また,光学顕微鏡に取り付けたICCDカメラにより,放電中のプラズマ形態の変化を露光時間5μsで観察した.併せて,放電プラズマの電圧・電流を測定した.放電モードがアークからグローに遷移する電流値は,雰囲気ガスの種類や陰極先端形状により異なった.窒素ガスを用いると,いずれの放電モードにおいてもプラズマのふらつきがなく,電極先端に集中した.窒素の場合,解離・電離の過程を経てプラズマとなるため,放電電圧が高く,プラズマ直径がサブミリ程度まで集中しており,パワー密度が高いため,電流値20mA,放電時間10msで直径100μm程度の溶融スポットが形成された.なお,本実験の範囲では放電時間20μs以下では溶融スポットは形成されなかったことから,熱伝導論からパワー密度2×10^9~1×10^<10>W/m^2と推定される.マイクロサイズの加工性に優れた高パワー密度のプラズマを生成するには,陰極先端形状の調整,雰囲気ガスの選択,電極間距離の制御が重要なパラメータとなる.
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