2010 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリ系化合物のミクロ分散による二酸化炭素高速隔離プロセスの創製
Project/Area Number |
21360366
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有山 達郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (10436165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 亮 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (70111309)
植田 滋 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (80359497)
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Keywords | 地球温暖化 / 二酸化炭素削減 / 二酸化炭素隔離 / 固体化学吸収 / アルカリ化合物 |
Research Abstract |
鉄鋼プロセスからのCO2排出量は我が国全体の14%に達するために、その大幅削減は緊急的課題である。また、その排出源は高炉のみならずコークス炉、焼結機、発電所、圧延工程などに広く分散し、濃度、量が異なるため多角的な対応が必要である。本研究はアルカリ系化合物をベースにした新しい固体化学吸収法を提案するもので、平成22年度は平成21年度のCaO、KOH、K2CO3などの基本物質の評価に基づき、BaO-TiO2、Li2O-TiO2などの複合系化合物について熱力学的な検討、及びTG-DTAによってCO2の分離、脱離実験、第一原理計算による吸収機構のシミュレーションを行った。複合系化合物の場合、強塩基性酸化物をTiO2、ZrO2等との化合物にすることが有効であることを多数の系で確認した。また、試料粒径、CO2分圧の影響など、工業的に展開するに重要な影響因子を明確にできた。さらに、これらの化合物生成に関する熱力学データが少ないため、状態図的な詳細な検討を行い、熱力学的なデータを整備した。この研究成果を、日本鉄鋼協会の学術雑誌ISIJ Int.に投稿し、昨年度の澤村論文賞を受賞するなど、学協会でも高い評価を受けた。充填層実験に拡張するために試料の調整方法を探索し、平成23年度に向けたマクロ的な実験の目処が得られた。 上記の実験と並行して、第一原理電子状態計算プログラムであるVASPを用い、吸収体への吸着シミュレーション計算を実施した。特に、CaO、BaOなどのモデル物質を対象にCO2の吸着サイトの比較、生成熱の理論的算出を行い、第3物質添加の効果を模擬する計算を行った。この結果は実験結果とも符合し、本手法は今後の研究に非常に有効であることを確認した。
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