2011 Fiscal Year Annual Research Report
高温酸化初期過程の皮膜表面における酸素活量のその場測定用センサーの開発
Project/Area Number |
21360368
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河村 憲一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50270830)
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Keywords | ジルコニア / 表面酸素ポテンシャル / ガス拡散律速 |
Research Abstract |
合金の高温酸化において,合金表面に形成する酸化皮膜の成長速度が大きい酸化初期など,皮膜中のイオンの拡散が律速しない場合,皮膜の成長は雰囲気中からのガス供給または表面反応によって律速され,酸化皮膜の表面酸素ポテンシャルは雰囲気の酸素ポテンシャルに比べて低下していると考えられる。この状態での酸化現象を厳密に解析するには,表面酸素ポテンシャルを知る必要がある。表面酸素ポテンシャルは安定化ZrO_2(SZ)を用いた酸素濃淡電池により測定できる。本研究では,従来の測定法を改良した接触式多電極型酸素センサを開発し,純Feの高温酸化時における雰囲気から皮膜表面までの酸素ポテンシャル分布を測定する方法を確立した。すなわち,鏡面研磨を施した純Feを酸素センサの直上に設置し,1123KにおいてAr-1%O_2雰囲気中で最長3660sの酸化をするとともに,その間,適宜酸素センサと試料を接触させ,表面酸素ポテンシャル及び雰囲気中の酸素ポテンシャルを測定した。酸素ポテンシャルは,皮膜表面に近づくほど低下し,時間の経過と共に上昇した。これは酸化の初期段階では表面において酸素の消費が激しく,酸化皮膜が成長するにつれて表面で消費される酸素の量が減っていることを示唆している。この時,供給律速時において酸素ポテンシャルが距離に対して比例しなかったため,SZ管先端部に多孔質Ptを焼き付け,酸化皮膜直近のガス側の酸素ポテンシャルを求めた。皮膜直近の酸素ポテンシャルと表面酸素ポテンシャルとの差が表面反応における酸素ポテンシャル差に対応し,約20~60kJ/molと求まり,時間の経過と共に減少する傾向にあった。
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