2011 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体を用いた中低温還元拡散による自然順応型銅族合金薄膜形成法の開拓と応用
Project/Area Number |
21360369
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
邑瀬 邦明 京都大学, 工学研究科, 教授 (30283633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉村 博之 京都大学, 工学研究科, 教授 (10293656)
一井 崇 京都大学, 工学研究科, 助教 (30447908)
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Keywords | イオン液体 / 還元拡散 / 合金形成 / リチウムイオン電池 / 負極材料 / サイクル特性 / 薄膜 / めっき |
Research Abstract |
昨年度までの研究において樹脂表面へのCu-SnおよびCu-Zn合金皮膜形成法については目標が達成できたと判断し、本年度はリチウム電池負極としてのCu_6Sn_5相およびCu_3Sn相の特性評価を重点的に行った。 Cu_6Sn_5相は、電位+0.11V vs.Li以上でのリチウム化によりLi_2CuSn相へと変化することを昨年度明らかにしたが、脱リチウム化によってこのLi_2CuSn相は可逆的にCu_6Sn_5相に戻ることを明らかにした。一方、Li_xSnとCu相への分相が起こる電位+0.10V vs.Liでのリチウム化について、その経時変化を調べたところ、Cu_6Sn_5内へのリチウムの還元拡散はLi_2CuSn相を形成するまでは比較的速く進行するが、その後の分相は速度が遅いことを明らかにした。 以上を踏まえ、単相Cu_6Sn_5を作用極、対極ならびに参照極をLiとして充放電サイクルを行った結果、充電終了電位(充電深さ)を+0.11V vs.Liに設定してLi_2CuSnからLi_xSnへの分相を起こらないように制御した試料のほうが、さらに卑な電位まで充電を行った試料に比べ、容量を格段に維持できることを明らかにした。また、充放電の電流値を500および50μAcm^<-2>に設定したどちらの試験においても、容量はある程度サイクルが進んだ段階に極大をもつ現象が見られた。 一方、昨年度リチウム化に対して活性がないと判断した単相Cu_3Snに関しても比較のため、いくつかの電位にて定電位リチウム化実験を行った。その結果、電位+0.10V vs.Liよりも卑な電位でリチウム化するとCu_3Sn相はただちにLi_xSnとCuに分相することがわかった。すなわち、Cu_3Sn相はリチウム化においてLi_2CuSnのような中間相を形成しない。またこのとき生じたLi_xSnそうは脱リチウム化によってCu_3Sn相ではなくCu_6Sn_5に戻る。Cu_3Sn相が若干の充放電活性を示すのはこのためであると理解できる。
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