2010 Fiscal Year Annual Research Report
迅速吸着性と易燃性を兼ね備えた固相抽出用ポリマーブラシ搭載多孔性シートの開発
Project/Area Number |
21360376
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
斎藤 恭一 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90158915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅野 太輔 千葉大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00400812)
浅井 志保 日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究員 (10370339)
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Keywords | 多孔性シート / 電子線グラフト重合法 / 接ぎ木高分子鎖 / 疎水性リガンド / 抽出試薬 / 担持 / 金属イオン / 吸着 |
Research Abstract |
核テロや原子力発電所の事故の後に,周辺の住民が放射性物質を体内に取り込んでしまうことを内部被ばくと呼んでいる。内部被ばくの程度を調べるときには,尿中の放射性核種を定量することが,対象者にとって負担が少なく好ましい。液中の放射性核種の濃度はpptと低く,分析には100~1000倍程度の前濃縮が必要である。このときに"固相抽出法"が採用されている,「固相抽出」とは固体(高分子材料)の吸着材を使って対象イオンを選択的に捕集する仕組みを指す。固相抽出材料は,吸着時に迅速に放射性核種を捕集する「迅速吸着性」と,使用後に焼却処理のしやすい「易燃性」を兼ね備えていることが要求される。 私たちの研究グループは,ポリエチレン製多孔性シートに高分子鎖を接ぎ木し,そこへ放射性核種を捕捉する抽出試薬を担持することを提案してきた。まず,多孔性シートに電子線を照射して,ラジカルをつくり,そのラジカルを開始点としてエポキシ基をもつ高分子鎖を取り付けた。つぎに,その高分子鎖に疎水性リガンドを導入した。その疎水性基と抽出試薬の疎水性基との相互作用を利用して抽出試薬をグラフト高分子鎖に担持した。本年度は,TOPO(トリ-n-オクチルホスフィンオキシド)を抽出試薬,放射性核種のモデルとしてビスマスイオンを選んで,その迅速吸着性を実証した。
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