2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規な有機ハイドライドによるカーボンフリー水素貯蔵・輸送・製造システムの創製
Project/Area Number |
21360377
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
中尾 真一 Kogakuin University, 工学部, 教授 (00155665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤松 憲樹 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (50451795)
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Keywords | 有機ハイドライド / 水素エネルギー / 膜反応器 / シリカ膜 / 水素キャリア / 目然エネルギー / ディストリビューター / エクストラクター |
Research Abstract |
本年度は計算およびシミュレーションにより,「1-メチルデカリン⇔1-メチルナフタレン」系という新規な有機ハイドライド系を構築する際に必要となる,水添反応のための水素ディストリビューター型膜反応器,脱水素反応のための水素エクストラクター型膜反応器,の2つの膜反応器に要求される膜性能について検討し,CVD(Chemical Vapor Deposition)法により製膜を行った.反応圧力などの実験条件,また膜反応器として水素を選択的に透過させなくてはならないという制約などから,いずれの膜反応器においても,水素分離シリカ膜の細孔径は6Å程度が望ましいことが明らかとなった.また,6Å程度の細孔径を有する水素分離シリカ膜を開発するために,CVD法のプレカーサーとしてDMDPS(Dimethoxydimethylsilane),HMDS(Hexamethyldisiloxane)を用いて,製膜条件の最適化を行い,ガス透過性を評価した.その結果,これらの膜は,我々が既に開発した世界最高水準の水素透過性と水素分離性を有するTMOS(Tetramethoxysilane)をプレカーサーとした膜と比較して,さらに高い水素透過性と水素分離性を示すことが明らかとなった.細孔径は3~5Å程度と想定され,目標とする6Åに近い大孔径シリカ膜の開発に成功したと言える.またHMDS膜を用いた膜反応器を開発し,既に挙動が明らかとなっているメタンの水蒸気改質反応を行ったところ,膜反応器として非常に安定に水素を製造可能であることが明らかとなった.次年度はこれらの成果を踏まえて,水素ディストリビューター膜反応器による1-メチルナフタレンの水素添加反応を実施する予定である.
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