2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機物結晶のメカノケミカル効果による固相多形転移に及ぼす不純物の影響
Project/Area Number |
21360378
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松岡 正邦 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40016671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝山 博志 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (40251582)
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Keywords | メカノケミカル効果 / 結晶多形 / 転移速度 / 添加物効果 |
Research Abstract |
結晶多形現象は、平衡関係に基づくものであるが、多形間の転移速度は複雑であって、速度論による解析が必要であり、平衡論と速度論を正しく理解する必要がある。特に固体状の医薬品の製造においては機械的なエネルギーの付与過程が避けられないことから、多形転移の可能性があり、メカノケミカル効果による多形転移の報告が増加している。本研究では、主に医薬品として用いられる有機化合物を対象として、所定の比率の多形混合物の生産制御方法の研究(平衡論と速度論)、構造的に類似している化合物の存在、さらに液体成分の存在がメカノケミカル効果による多形転移速度に与える効果に関して、実験を行いそれぞれの現象解析を行った。その成果を5報の原著論文としてまとめた。 まず、アミノ酸であるグリシンの多形間の転移速度とメカノケミカル操作条件(ボールミルの材質によるボール質量、回転数、試料量)との関係を定量的に解析し、無次元項で整理した。その上で同物質の転移速度に与える液体(溶媒)の有無と液体添加量の影響を実験的に検討し、液体の種類と量による影響が単純な関数では表現できないことを見出した。また医薬品物質であるテオフィリンのメカノケミカル操作による多形転移現象および速度に与える構造類似物質の存在の影響を実験で明らかにした。物質の構造の僅かな差が、転移現象および転移速度の両者に大きな影響を持つことを明らかにした。これらの実験的な研究により、固体状および液体状の添加物(不純物)が転移現象および転移速度に与える効果を定量的に明らかにすることができた。この知見は多形転移現象の解明および同現象の速度解析さらには制御において重要である。
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Research Products
(11 results)