2011 Fiscal Year Annual Research Report
高分散性ナノ粒子のプラズマ気相発生・輸送制御によるナノ空隙構造膜の生成
Project/Area Number |
21360380
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島田 学 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70178953)
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Keywords | ナノ材料 / 薄膜・微粒子形成操作 / 微粒子移動操作 / 非凝集粒子 / 堆積 |
Research Abstract |
本研究では、内部にナノスケールの微細空隙を有した純度の高い膜状物質を気相プロセスで作成するために、非平衡RFプラズマCVD法を用いた分散性の高いナノ粒子の生成と、ナノ粒子を輸送し基板表面に連続的に堆積させて膜を形成させる手法を組み合わせた技術を開発して、その有用性を明らかにしつつ、膜の構造に応じた適切な生成条件を提示することを目的として研究を行った。本年度の研究成果の概要は、以下のとおりである。 1.堆積用の酸化チタンナノ粒子について、発生条件の吟味によって、一次粒子のサイズや凝集度等の異なる粒子が得られるようにした。また、粒子の材質の影響を評価するために、酸化シリコン粒子の発生も検討し、サイズや凝集度の調整を可能とした。 2.堆積膜の性状に及ぼす、堆積粒子の性状と堆積条件の影響の検討を行った。粒子径の揃った非凝集粒子を用いた場合に形成された膜中の均一な空隙構造は、粒子径が異なっても概ね相似で、そのスケールは粒子径に応じたものとなり、また粒子材質の影響はないことがわかった。ただし、堆積粒子に10%程度でも凝集粒子が含まれていると均一構造にはなりにくかった。さらに、堆積膜を焼成すると、焼成温度や時間および粒子の材質によって、空隙構造や膜の厚みが変化するとともに、基板への密着性や膜強度の向上が図れることもわかった。 3.堆積粒子の性状、輸送流動場、ならびに堆積膜の構造を考慮した考察によって、粒子のガス中輸送・沈着・堆積機構に及ぼすブラウン拡散、慣性衝突、静電泳動の相対的効果を見積もった。また焼成による膜構造の変化の、温度、粒子材質への依存性についても、昇温場におけるナノ粒子の焼結融合過程のモデルにより説明づけることができた。 4.これまでの実験結果と考察事項をふまえて、膜内部の構造を決定づける主要な因子が整理され、これにより目的とする構造の膜を形成するための指針が得られた。
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