2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体認識と移動現象の解析に基づいた高効率クロマトグラフィープロセスの構築
Project/Area Number |
21360382
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 修一 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80144921)
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Keywords | クロマトグラフィー / 生体認識 / プロセス開発 / イオン交換クロマトグラフィー / モノリス / タンパク質 / DNA / PEG |
Research Abstract |
水溶性高分子polyethylene glycol(PEG)を結合したPEG化タンパク質は有効な医薬品であるが、そのクロマトグラフィー分離は困難でありまた分離機構もよくわかっていない。ランダムPEG化したリゾチームとモノPEG化した牛血清アルブミン(BSA)の静電気的相互作用クロマトグラフィー(IEC)における分離機構を解析した。勾配溶出実験から吸着サイト数と溶出塩濃度を求めたところ、モノPEG化したタンパク質の吸着サイト数は、ほとんど変化しないもののPEGの分子量の増加とともに溶出位置は前方にシフトした。これはタンパク質の荷電部位とクロマトグラフィーのイオン交換基がPEGの立体障害のために接近できないことが原因であると考察した。また既存の研究では単鎖PEG化リゾチームの異性体(異なるリジン残基にPEGが結合)が分離できていなかったが、モノリス型クロマトグラフィーを利用することにより3つの異性体が分離できたと結論した。 モノリスの分離性能に関して、勾配溶出からのHETP算出方法を用いて検討した。特に大きなDNAでは分配係数が勾配を緩くしても大きくならないことと、拡散物質移動がないことにより鋭い溶出曲線となることを明らかとした。HETPは0.003-0.005cm程度であり0.3cmの薄いdiskでも線速度に関わらず(すなわち高い線速度でも)60段程度の理論段数が期待できる。このことが前述のPEG化タンパク質異性体の精密分離を可能にしたと考えられる。多孔性粒子の場合は内部拡散抵抗の影響で大きなDNAについては鋭い溶出曲線を得ることは困難であった。また吸着サイト数もモノリスほど大きな値とはならなかった。
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Research Products
(4 results)