2009 Fiscal Year Annual Research Report
抽出操作における生体分子の高度認識分離を可能とする分子集合系の開発
Project/Area Number |
21360383
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 雅宏 Kyushu University, 工学研究院, 教授 (10211921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 典穂 九州大学, 工学研究院, 准教授 (50302766)
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Keywords | 逆キセル / 抽出 / マイクロエマルション / 分子集合体 / 分子認識 / 分離 / イオン液体 / タンパク質分離 |
Research Abstract |
本研究では、単一の分子では抽出能力がない分子を,集合化(組織化)することによって、新たな抽出能力が発現する逆ミセル系を構築した。特に、従来型の抽出操作において使用されてきた単一の抽出試薬とは異なり、分離ターゲットに対して高い認識能を示すような分子集合系(複数の分子が集合してはじめて抽出能力を発揮するような逆ミセル系)をタンパク質および遺伝子抽出を例にして実証した。また、イオン液体を媒体とした新たな逆ミセル系の構築に成功した。モデルタンパク質として、チトクロムcを取り上げ、イオン液体中への抽出分離挙動を詳細に検討した。タンパク質の水相から有機相への移動に及ぼす重要な因子を明らかにするために構造がすでに明らかにされているチトクロムcを用い、化学的に表面を改質したたんぱく質を利用して抽出挙動を測定し、抽出機構の本質を議論した。その結果、カチオン残基を多く含むタンパク質は、分子認識試薬としてクラウンエーテルを共存させることによって、高効率の抽出が行えることを明らかにした。さらに、イオン液体中に抽出したチトクロムcに構造変化が生じ、高いペルオキシダーゼ活性が発現することを見いだした。抽出はタンパク質のみならず、鎖長が20程度の短いDNAにおいても効率よく抽出が行えることが明らかとなった。この場合(遺伝子抽出)は、カチン性の界面活性剤を用いる点がポイントであった。さらに、配列選択性を実現させるために、逆ミセル中に1本鎖型のDNAを溶解し、その分子に相補的なDNAのみが選択的に抽出できる系を構築した。
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