2010 Fiscal Year Annual Research Report
抽出操作における生体分子の高度認識分離を可能とする分子集合系の構築
Project/Area Number |
21360383
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 雅宏 九州大学, 工学研究院, 教授 (10211921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 典穂 九州大学, 工学研究院, 教授 (50302766)
久保田 富生子 九州大学, 工学研究院, 助教 (60294899)
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Keywords | 逆ミセル / 溶媒抽出 / 液液抽出 / 分離操作 / イオン液体 / タンパク質抽出 / 高度分離 / 分子認識 |
Research Abstract |
環状化合物の空孔サイズは原子ほどの大きさしかないため、それより大きな分子、例えばタンパク質のような生体高分子を認識することはできないと考えられてきた。また、イオン液体を用いた溶媒抽出系においても、タンパク質の抽出は困難であると思われていた。本研究ではクラウンエーテルを用いる分子集合錯体によってタンパク質表面を認識し、イオン液体にタンパク質を抽出することに成功した。対象タンパク質としてヘムタンパク質である馬心筋由来のシトクロムc(Cyt-c)、抽出剤としてクラウンエーテルDCH18C6、イオン液体として水素結合能と高い極性を有する水酸基を組み込んだ[C_2OHmim][Tf_2N]を用いた。Cyt-cを含んだ水溶液とDCH18C6を含んだ[C_2OHmim][Tf_2N]を接触させた結果、DCH18C6の濃度が増加するにつれてCyt-cは水相からイオン液体相へと移動し、最終的には定量的な抽出が可能となった。さらに、この抽出後のイオン液体相を取り出し、数ヶ月経過しても変性・分解することなく安定であることを確認した。また、Cyt-c以外のヘムタンパク質として、ミオグロビン、HRP、グアニジル基修飾Cyt-cを用いて抽出を行った結果、ミオグロビンのみが抽出され、イオン液体への抽出性がタンパク質のLys残基の含有量に基づくことが明らかとなった。 DCH18C6の空孔サイズは-NH_3^+の大きさと適合するためサイズ認識効果が働き、また、イオン-双極子相互作用やC_3対象の水素結合を形成するため高い結合力を示す。その結果、液-液界面で1分子のCyt-cに対して複数個のDCH18C6が配位した分子集合錯体を形成するため、Cyt-cのイオン液体への溶解性が増大し、抽出が起こると推察された。
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Research Products
(5 results)