2011 Fiscal Year Annual Research Report
抽出操作における生体分子の高度認識分離を可能とする分子集合系の構築
Project/Area Number |
21360383
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 雅宏 九州大学, 工学研究院, 教授 (10211921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 典穂 九州大学, 工学研究院, 教授 (50302766)
久保田 富生子 九州大学, 工学研究院, 助教 (60294899)
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Keywords | 抽出 / 溶媒抽出 / 分子認識 / 逆ミセル / マイクロエマルション / DNA抽出 / タンパク質分離 / イオン交換 |
Research Abstract |
本研究ではDNAを分離するために、タンパク質などの生体高分子を有機相へ可溶化することのできる逆ミセルを利用した。逆ミセルを用いた液液接触法による抽出分離は容易にスケールアップが可能であることから、大量処理に適した分離手法であると言える。抽出剤としてDNAの末端に疎水性のオレイル基を結合させたDNA界面活性剤を用い、DNAの相補鎖結合能を抽出の駆動力として利用した。逆ミセルを形成する界面活性剤には核酸と静電的な相互作用が無いリン脂質を用いた。 まず、L-α-レシチンを界面活性剤として用い、FITCラベル化DNAの抽出を行った。その結果、DNA界面活性剤を用いることにより、相補的な配列を持つFITCラベル化DNAが有機相へ抽出できることが示された。また、抽出後の有機相の蛍光強度が逆ミセルサイズの増大に伴い増加していったことから、抽出に最も大きな影響を与えているのは逆ミセルサイズであるということが示唆された。 次にDilauroylphosphatidylcholineを界面活性剤として用い、核酸の抽出を行った。FITCラベル化DNAの抽出率を算出したところ、およそ50%であった。さらに、選択性の検討で3種類の異なる配列を有する標的DNAの混合溶液に対し、3つの内のいずれかに相補的なDNA界面活性剤を用いることで相補的な標的DNAのみを選択的に抽出できた。 したがって、本研究の目的である配列選択的核酸の抽出が可能であることが確認できた。また、抽出に影響を与える因子としてDNA界面活性剤濃度および標的DNAの塩基長の検討を行ったところ、DNA界面活性剤の疎水性の不足や、逆ミセルとDNA鎖の間の立体障害が抽出率の低下に関与していることが示唆された。また、一度有機相へ抽出された核酸を再び水相へ戻す操作、すなわち逆抽出が可能かどうか検討したところ、2-ブタノールを添加することで逆ミセルが破壊され、逆ミセルに内包されていた核酸が水相へ移動すること、すなわち定量的な回収が可能であることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)