2010 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
21360388
|
|---|
| Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
|---|
Principal Investigator |
山口 猛央 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (30272363)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 大知 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50447421)
田巻 孝敬 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (80567438)
大橋 秀伯 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (00541179)
|
|---|
| Keywords | バイオ燃料電池 / レドックスポリマー / 酵素反応 / 失活 / 吸着変性 / カーボン / グラフト重合 / 表面処理 |
|---|
| Research Abstract |
触媒に酵素を用いるバイオ燃料電池は、グルコースなど生体に安全・安心な燃料を利用できるが、電流密度が低いことが課題であった。申請者らが提案しているレドックスポリマーをグラフト重合したカーボン微粒子で構成された三次元酵素電極では、仮に酵素が水溶液中と同じ速度で反応すれば、現状の百倍以上の電流密度を得られることがモデル計算から示されている。昨年度までの研究により、現状の三次元電極で電流密度を制限している主な要因が、カーボン表面へ酵素が物理吸着する際の変性・失活であることが明らかにされた。本年度は、電流密度の増加へ向けてカーボン微粒子の表面修飾を行い、疎水的なカーボン表面の親水化が酵素活性へ与える影響を評価した。修飾剤としては、酵素の保護作用があることが報告されているトレハロースと界面活性剤、生体適合性高分子であるポリエチレングリコール(PEG)を検討した。未修飾のカーボンへの吸着と比較して、界面活性剤を用いた場合には酵素のカーボンへの吸着が抑制され、トレハロースとPEGを用いた場合には吸着後の酵素活性が増加したが、いずれも効果は大きくなかった。この理由として修飾剤のカーボン表面の吸着が充分ではない可能性が考えられたため、末端に疎水性のジアクリルグリセロール、またはコレステロールを有するPEGによりカーボン修飾を行った。その結果、ジアクリルグリセロール-PEGで修飾した場合は、酵素の吸着が大幅に抑制され、溶液中での酵素活性に対する吸着後の酵素活性が、未修飾の場合約8%程度であったのに対し、約36%まで増加した。したがって、酵素表面の親水化処理により、酵素の物理吸着に伴う失活・変性をある程度抑制できることが示された。
|
