2011 Fiscal Year Annual Research Report
次世代合成燃料製造プロセスにおける流動層反応装置の強化と最適化
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21360389
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
甲斐 敬美 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (00177312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中里 勉 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (30323330)
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Keywords | 流動層 / 燃料合成 / 固体触媒反応 / 反応装置 / 水素化反応 / 体積変化 / 非流動化 / 流動化停止 |
Research Abstract |
合成ガスからの炭化水素合成反応ではガス体積が減少する。ガス体積が減少する反応を流動触媒層反応器で行うと非流動化によって運転ができないといった大きな問題が生じる。これまでの研究で提案したように非流動化を回避するためには、体積比を1に近づけるか、体積減少速度を小さくするかのいずれかが必須である。前者を実行するために、原料ガスの分割供給や希釈ガスの添加による流動性の改善についてすでに検討してきたが、このような方法を採用できない系もある。たとえば、原料ガスがはじめから混合系である場合や、不活性成分を出口ガスに混在させたくない場合である。23年度は、後者の体積減少速度を小さくする方法について検討を行った。具体的には反応速度を低く抑えることによって、体積減少速度を小さくする。ただし、反応率をかせぐためには分離装置によって出口ガスを生成物成分と原料成分に分けて、原料成分を反応器入口にリサイクルする必要がある。研究の主目的は非流動化を避けるために必要なリサイクル比が現実的な範囲におさまるかどうかを検証することであった。体積の減少速度を閾値である0.011/sよりも小さくするためには適用できる最大の反応速度定数が存在する。この値は反応の量論係数に影響され、体積減少が大きな反応ほど小さくなる。そのため、反応率にも上限が存在し、その結果として、反応率が低いほどリサイクル比も大きくしなければならない。最終的には体積減少を考慮した流動層反応器モデルを用いて、空塔ガス速度や流動層高などの反応装置の運転条件や気泡ホールドアップや二相間の物質移動容量係数などの装置パラメータを考慮して、反応式の量論係数とリサイクル比の関係を求めた。その結果、工業的な運転条件においても、リサイクル比は10を越えないことが示され、この方法は十分に現実的であることが分かった。また、反応条件に応じて、非流動化を避けるためのリサイクル比を含む運転条件を求めるプロセスを明らかにした。本研究は合成燃料製造での流動層反応器設計を念頭においているが、工業的に重要な反応には体積減少を含む系も多いため、波及効果も大きく、学術的・工業的にも極めて貴重な知見がまとめられたと考えている。
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Research Products
(11 results)