2011 Fiscal Year Annual Research Report
高度分子変換反応に有効な環境調和型新規不均一系ルテニウム触媒の創成
Project/Area Number |
21360393
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和田 健司 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10243049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 三郎 京都大学, 工学研究科, 助教 (90456806)
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Keywords | グリーンケミストリー / ルテニウム / 酸化セリウム / C-H結合活性化 / 固体触媒 / カップリング反応 / 付加反応 / XAFS |
Research Abstract |
原子効率に優れ、有害廃棄物を排出せず、かつ経済的な有機合成プロセスを可能にする環境対応型触媒の開発は重要である。そこで本研究では、多様な高度分子変換反応に有効な、環境調和型の不均一系ルテニウム触媒を開発した。 本年度の検討の結果、芳香族C-H結合の活性化を伴うアルキル化反応について、より多様な基質が適用可能な新しい触媒系を見出した。代表者らが以前に見出した酸化セリウム担持Ru触媒の場合、適用できるアルケンはアルコキシビニルシラン類に限られていたが、触媒をトリフェニルホスフィンおよびホルマリン処理することにより、スチレン等の多様なアルケンが適用可能であり、活性の低下を伴うことなく触媒の再生利用が可能であることを見出した。 カルボン酸の末端アルキンへの直接付加反応によるエノールエステル類の合成反応に対して、種々のホスフィンで修飾した酸化セリウム担持Ru触媒を用いることで、反応の位置および立体選択性が自在に制御可能であることを見出した。例えば、酸化セリウム担持Ru触媒を1,4-(ジフェニルフォスフィノ)ブタンによる修飾処理を施した酸化セリウム担持Ru触媒を用いたところ、アンチ-マルコフニコフ付加したZ・異性体が選択的に得られた。一方、トリ-n-オクチルホスフィンで修飾した触媒を用いたところ、マルコフニコフ付加体が選択的に得られた。 さらに、顕著な担体効果の原因を明らかにするため触媒表面のRu種の状態を解析した。酸化セリウム担持Ru触媒のmmESスペクトルには22110 eV付近に顕著なpre-edgeピークが認められ、FTIRスペクトルにはRu=Oに帰属されるピークが認められた。このピークは反応後に消失し、触媒を再焼成すると再び現れたことから、セリア表面上にRu=O種が形成され、反応系中で活性種に変換されて触媒として機能し、再度焼成するとRu=O種が再生すると推察される。
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