2010 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体を前駈体として利用したナノ空間制御された複合金属酸化物触媒の開発
Project/Area Number |
21360397
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
八尋 秀典 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (90200568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 修平 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (50397494)
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 燃料電池 / 有機金属錯体 / 複合酸化物 / ペロブスカイト |
Research Abstract |
有機金属錯体を前駆体とした複合金属酸化物触媒について検討を行った.シアノ錯体の熱分解法によって高表面積をもつペロブスカイト型酸化物の合成を試みた.金属シアノ錯体の粒子サイズは,錯体合成時のヘキサシアノ鉄(III)カリウム水溶液および硝酸サマリウム水溶液の濃度に依存し,水溶液濃度が低いほど生成した錯体粒子が小さいことがわかった.さらに,焼成後のペロブスカイト型酸化物の粒子サイズ・比表面積は,前駆体であるシアノ錯体の粒子サイズに依存し,シアノ錯体の粒子サイズが小さいほど焼成後に得られるペロブスカイト型酸化物の表面積は大きくなることが明らかとなった.特に700℃焼成で10m^2g^<-1>以上の比表面積をもつ単一相のペロブスカイト型酸化物が合成できた.700℃で焼成したペロブスカイト型酸化物のCO酸化触媒活性は,単純に比表面積に依存した.また,シアノ錯体の焼成条件もペロブスカイト型酸化物の比表面積に影響を与えることがわかった.したがって,前駆体であるシアノ錯体の粒子サイズをさらに小さく制御できれば更なる高表面積の向上および触媒活性の向上が期待できることがわかった. また,新しい錯体としてオキサラト錯体の熱分解によるペロブスカイト型酸化物の合成を試みた.オキサラト錯体からペロブスカイト酸化物を合成する際に原料から取り込まれるカリウムイオンが単一相ペロブスカイト調製を妨げる.そこで,カリウムイオンの除去にクラウンエーテルを用いることで問題を解決した.また,単一相ペロブスカイト型酸化物の形成は,オキサラト錯体合成時に使用するクラウンエーテルの量に依存した.最適なクラウンエーテル量を用いて錯体を合成したとき,700℃焼成で単一相のペロブスカイト型酸化物,SmFeO_3が得られることがわかった.
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