2011 Fiscal Year Annual Research Report
胚性幹細胞及び人工多能性幹細胞の肝分化誘導プロセスの開発とバイオ人工肝臓への応用
Project/Area Number |
21360407
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水本 博 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (90346817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶原 稔尚 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10194747)
井嶋 博之 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10274515)
中澤 浩二 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (00304733)
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Keywords | ハイブリッド型人工肝臓 / ES細胞 / iPS細胞 / 肝細胞 / 分化誘導 / 再生医療 |
Research Abstract |
中空糸型人工肝臓装置内でのマウスES細胞の肝分化誘導と動物実験による性能評価 前年度までに確立した中空糸/オルガノイド培養を用いたES細胞、iPS細胞の肝分化誘導法の人工肝臓への応用として、中空糸型人工肝臓装置を開発した。次に開発した装置内にマウスES細胞を充填し、肝分化誘導を行った。その結果、肝分化誘導を行った人工肝臓装置は、初代肝細胞を固定化した場合と比較できるレベルでの機能発現が可能であることが示された。次に動物実験により人工肝臓としての治療効果の評価を行った。実験動物はラットを用い、自然回復率60%の可逆的な肝不全モデルを作製後、肝分化誘導を行ったES細胞固定化人工肝臓装置の適用を行った。この結果、細胞を充填していない装置を適用した対照群と比較して、適用中の血中アンモニア濃度やクレアチニン濃度の改善と同時に、適用後の生存率の改善が示された。以上の結果、ES細胞から分化誘導された肝細胞が、肝不全状態の改善と救命に寄与できることが示された。 ヒトiPS細胞から肝細胞への分化誘導 前年度までにマウスES細胞を用いて確立した肝分化誘導法のヒトiPS細胞への応用を行った。まず、ROCK (Rho-associated coiled-coil forming kinase/Rho結合キナーゼ)阻害剤を用いることにより、分散状態からの増殖が可能なヒトiPS細胞の培養条件を確立した。次に確立した条件を用いて中空糸/オルガノイド培養による肝細胞への分化誘導を行った。この結果、マウス細胞と比較するとヒトiPS細胞では細胞増殖活性が低いことが示された。一方、分化誘導条件をヒト細胞用に改変することにより、マウス細胞と同程度の割合で肝細胞への分化誘導が起こり、肝機能が発現できることが示された。
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