2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分化の人工誘導経路を短時間で最適化する方法の研究
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21360409
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤渕 航 独立行政法人産業技術総合研究所, 生命情報工学研究センター, 研究チーム長 (60273512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五島 直樹 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディシナル情報研究センター, 主任研究員 (70215482)
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Keywords | 発生分化 / データベース / バイオテクノロジー / 生体生命情報学 |
Research Abstract |
代表者(藤渕)のグループでは、細胞分化を促進する候補遺伝子を選択する精密な数理科学的手法を開発した。例としてヒトES細胞で全遺伝子siRNA実験を行った論文(Nature 468,p.316-20,2010)から、各転写因子のサイレンシングに対する細胞分化の程度をサポートベクター回帰法で学習させたところ、学習数がわずか300程度でも、細胞分化に貢献する転写因子を相関係数R=0.85の高精度で予測することができた。これは、全20,000遺伝子をsiRNA実験するコスト2億円に比してわずか300万円と低コスト化の可能性を強く示唆しており、学術的経済的の両方面から特に重要な成果のため現在、論文草稿中である。 また、精密に選択した遺伝子を細胞外から撹乱させるため、siRNA法による遺伝子発現制御を目指していたが、平成23年度は予期せぬ分担者(三宅)の人事異動があったため、最終成果である候補10遺伝子から2新規遺伝子による脂肪細胞分化促進効果までを現在、論文草稿中である。 代わりに平成23年度には同等の実験技術を有する新分担者(五島)によるドミナントネガティブタンパク質のタンパク質導入法による新しい遺伝子機能阻害法を設計した。本タンパク質導入法では、カチオニックペプチドと脂質を用いた新規タンパク質導入法を開発した(Yamaguchi, K.,et al.,J BIOTECHNOL, 2011)。従来法であるカチオニックタグ融合タンパク質としてタンパク質を細胞導入するのではなく、本法ではカチオニックペプチド、脂質とネイティブタンパク質の複合体としてタンパク質導入するため、ネイティブタンパク質を活性型で高効率に導入可能であった。タンパク質導入法を用いた機能阻害による分化誘導のポジティブな結果は、まだ、得られていないが、安全で応用範囲が広い本方法での分化誘導研究は、今後さらに進めて行く予定である。
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