Research Abstract |
・多層膜コーティングチップによる電極損耗量の計測手法の確立 ホールスラスタの実際の電極損耗率は,軸方向に異なる.従って,全損耗量を計測するには,損耗率の軸方向分布を測定する必要があり,多数のチップを軸方向に埋め込む必要がある. まず,チップごとの信号を区別するために,チップに施すコーティング金属の種類を変え,金属ごとに異なる発光波長の時間履歴を取得する必要があり.このために用いる金属の選定を行った.この結果,銅,銀およびパラジウムが使用可能であることを見出した. また,これらを用いて損耗量の軸方向分布の計測を行った.この結果,推進機の出口付近にて,損耗量が最大になることなどが確認された. ・プラズマ粒子シミュレーションコードの構築(ホールスラスタ) 本研究の最終目標は電極損耗から寿命評価を行い,長寿命化への設計指針を得ることである.そのためには,数値解析コードにより推進機内部を観測し,プラズマの状態と電極損失のつながりについて,物理的に明らかにする必要がある. 最終的には平成20年度までに当研究室にて開発されたホールスラスタ用の非定常,非線形領域が解析可能な数値解析コードを,本研究で測定対象とするホールスラスタに適用し,電極損耗の効果を加え,ホールスラスタの電極損耗を模擬するする数値解析コードの開発する予定である. 本年度は,その第一歩として,壁面における境界条件を見出すため,電子のみを流体として扱うハイブリッド粒子法数値解析コードを作成した.その結果,損耗を正しく解析するためには,電場解析の際に用いる境界条件として,二次電子放出を加味したシースを考慮した上で,第三種境界条件を用いる必要があることを見出した.
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