Research Abstract |
本研究の目的は,実験研究により三次元離散化燃料系である燃料液滴群が蒸発,自発着火して燃焼する一連の非定常過程について,それらの過程に及ぼす燃料液滴直径,液滴間距離,燃料性状といった主要因子の影響を明らかにすることである.実際に三次元離散化燃料系を用意し,それを高温雰囲気に急激に接触させて,蒸発させるか,さらに自発着火をへて燃焼に移行させる.微小重力環境を利用して,光学観測をもとに蒸発速度,蒸発時間,自発着火挙動,自発着火の遅れ時間,火炎挙動,燃焼速度,燃焼時間など三次元離散化燃料系の燃焼関連特性を定量化,データベース化する. 本年度は,三次元離散化燃料系の製作手法として,これまでの提案者固有の手法とともに,インクジェット技術を応用した液滴生成手法を新たに採用した.前年度に導入準備を行った,極少量の液滴を高精度で吐出できる液滴ディスペンサシステムを使用し,ディスペンサヘッドから極細線交差点に向けて液滴を吐出し付着させた.こうして従来より微細化された三次元離散化燃料系が製作されるようになり,実験結果を微細側に拡張することができた.前者の方法では,前年度に引続き三次元離散化燃料系を構成する燃料液滴に2種類の液滴直径を振分けて,液滴直径の不均質性の影響を検討するとともに,液滴間隔の影響も併せて検討した.後者の方法では,とくに液滴直径の影響に着目し,液滴間隔の影響と併せて検討することで,寸法効果に関する知見の拡大を図った. その結果,実験結果のデータベースを充実させることができたほか,構成液滴の一部が消滅(蒸発)した後に着火する条件が成立することを確認した.寸法,配置が制御された三次元離散化燃料系での一部蒸発後の着火は,微細化された条件で初めて観察された現象であることから,引続き確認実験などの検証と考察を慎重に進めて,学会発表,雑誌論文を中心に,これまでの成果とあわせて順次公表を進める.
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