Research Abstract |
23年度には予定していた実験室の整備に手間取り,年度内に安全対策を完了することができず,まだデータが得られていない.今後,安全対策が終了次第,実験を行い,本研究の内容を完了したい. この実験とは別に並行して行われてきた数値解析による研究は順調に進み,実験で得られていないデータを他の研究者のデータを使うことにより,バイオ燃料の燃焼特性を明らかにした.バイオ燃料の内,バイオエタノールについては,Nortonらによる化学反応モデルとLeplatらによるものが,比較的実験結果と良い一致をみることを確認した.また,これまで使っていた計算法による化学反応計算では,解が発散することがあると確認でき,計算法を変える必要があることを見つけた.次に,エタノール/空気による二次元のデトネーション解析を行い,デトネーションの速度が実験と良い一致を示していることを確認した.また,詳細モデルと1段階総括反応モデルによるデトネーションの構造の比較では,詳細モデルの方が,活性基を計算している分,デトネーション構造が詳細であることが判明した.応用例として,パルスデトネーションエンジンの計算を1段階エタノール/空気の反応機構を用いて行ったところ,比推力で比較すると,ジェット燃料(例えば,JP10など)と同じような比推力を得ることが分かった.これから,エタノールは反応時間などが長いが,将来の航空機燃料として有効であることが理解された. 最後に,もう一つのバイオ燃料であるヤシ油の研究では,ヤシ油の化学反応機構を開発するにあたり,複雑な化学種の複合体であるヤシ油の実質的に使用している形であるパームメチルエステルの代替燃料をほぼ確定することができ,直鎖型のメチルエステルが使用できるとした.このパームメチルエステルを今後どのような条件で燃料として用いるべきかなどがこれからの研究課題になる.
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